クリストフォルー

陽のあたる場所のクリストフォルーのレビュー・感想・評価

陽のあたる場所(1951年製作の映画)
4.2
原作小説(セオドア・ドライサー『アメリカの悲劇』)は、1920年代当時の社会・世相にメスを入れた硬派な内容らしいが、ジョージ・スティーヴンスの手になる本作は、犯罪映画と見せかけたメロドラマであり、若きモンクとリズを愛でるための映画として価値がある。
ただ、この2021年9月現在の状況(テキサス州での中絶規制法やタリバン支配による女権の制限)を思うと、原作やこの映画の中で描かれていたことは、アメリカのみならず、世界の悲劇でもあったという気がしてくる。男の身勝手という側面はあっても、ひとつの命で、残る二つの命は救えたかもしれない。主人公の最初の岐路は、頑なな男性社会の壁にあったのだから。
本作から、日本映画の「悪人(2010)」(吉田修一原作・李相日監督)を思い出す人も多いかな。
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