昼行灯

藤十郎の恋の昼行灯のレビュー・感想・評価

藤十郎の恋(1938年製作の映画)
3.6
藤十郎ゴミすぎる!どうした!🥹長谷川一夫の人気落ちんか?いやこういうクズ男との恋を物語の中で楽しむのがいいのか…藤十郎の恋が始まるまで48分、この恋が真実であるわけが無い…😟その恋に燃えたぎってしまった入江たか子によって、長谷川一夫の気持ちが揺らぐ瞬間が過剰なまでの顔のクロースアップの高速カットで表されてるのが、物語の緩急をすごいものにさせていて、映画が終わってもどきどきする。入江たか子の激情によってまた一段と深みのある演技になったことでしょう…よかったね藤十郎🥹でも藤十郎が演技してる様子に入江たか子の黒々とした蕗谷虹児の描く女のような目がオーバーラップするのはすごく怖い。

そんで藤十郎が演じようとするのが近松物語なのが未来からの観客の自分としてはまた🫰すごいメタ構造が生まれてる。近松物語で主演を務めた時、長谷川一夫はこの時の演技が頭をよぎったことは間違いない☝️
江戸時代が舞台の物語ではあったけど、小村雪岱と宮城道雄の参加によってモダンな雰囲気がぷんぷんした。特に小村雪岱のテイストは全編渡って主張してくる。長谷川一夫の着物は可愛すぎて、当時の女子の心にストライクしたことでしょう。そして、最後の道を埋め尽くすような民衆の蛇の目傘のショットは確実に小村雪岱の絵のオマージュだった。
宮城道雄の仕事もすごい。特に春の訪れを告げるショットの数々がディゾルブしまくる場面では、街へ繰り出す桂女の土着的な掛け声と琴のアンサンブルが神がかっている。全体的にもバイオリンとの掛け合いが主になってて、江戸の話だけど江戸じゃないみたい。

ただやっぱり藤十郎の偽の恋が始まるまではだれる。
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