Violet

ザ・ビーチのVioletのレビュー・感想・評価

ザ・ビーチ(2000年製作の映画)
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面白いとか面白くないとか
良いとか悪いとかっていうよりも
ひたすらに不気味だった。
でも独特の雰囲気、何が起こるか予測不能なストーリー展開とキャラクターたちの思考で、作品の世界観に引き摺り込まれたのは確か。

The Beach
そこは秘密の楽園。そこに行けば煩雑な日常から解放されるーー
わたしはそんな冒険家な性格ではないけど、〈楽園〉を目指し、スリルを求めるディカプリオ演じるリチャードが象徴する「若者の危うさ」というものがなんだかとてもリアルだったように感じた。

ディカプリオの狂気的な演技はとっても良かった!!キラキラ王子様のディカプリオも大好きだけどこういう狂気的な役をやらせたときのディカプリオってすごいと思う🤔

他の方がどんなふうに感じたのかレビュー読むのがとても楽しみ。

✂︎—以下ネタバレ——






















多分誰もが思ったと思う。
「これが楽園?」
医療もまともに受けられない、家電・電化製品もない、電池やトリートメント等生活必需品は都会に出向かないと買えない、そして
〈楽園〉を〈楽園〉として保つために恐ろしい犠牲を払わなくてはならない。
サメに襲われひどい傷を負った男に対して、〈楽園〉の住民は彼を「〈楽園〉の雰囲気を壊す不要な存在」と判断し、あろうことか森のテントに置き去りにしてしまうのだ。普通、家族や仲間がサメに襲われたら医者に見せるでしょう。助けようとするでしょう。
自分たちは〈楽園〉にいるんだという思い込みに重きを置きすぎて、住民たちは感覚が麻痺してしまっているように感じた。

若者たちのもつ危うさを描きつつ、
最後にはきちんと地に足ついて仕事を見つけようとするリチャードの成長した姿が描かれる。
自分が今いる世界がつまらなくて、もっと刺激的なものを求めたくなる年頃だろう。
でも、灯台下暗し。
自分の周りに溢れた楽しいものや素晴らしいものを見過ごしてしまっていたことを、あの〈楽園〉で過ごした時間が教えてくれたのかもしれない。

最後、〈楽園〉で撮った集合写真がフランソワーズから送られてきたけど、みんなで楽しそうに笑ってる写真って、なんかそれを見ているだけで「すんごい楽しかったなあこの時」って言う幸福な気持ちになれるよね。
本当の〈楽園〉とは、実は自分の中の楽しい思い出にあるのかも。
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