三隅炎雄

三池監獄 兇悪犯の三隅炎雄のレビュー・感想・評価

三池監獄 兇悪犯(1973年製作の映画)
4.6
三池監獄を舞台にした小沢茂弘任侠映画最初期の『監獄博徒』と対になる映画。あちらはアメリカのギャング映画・西部劇からの影響大だったが、こちらはどぎつい暴力とセックス描写に満ちた、まさに実録暴力映画時代到来を告げる作品になっている。
天皇制ファシズム国家のために三池監獄の囚人たちが次々に使い捨てにされていく描写、アウシュビッツを想わせる地獄絵のような炭鉱労働描写がまずあって、そこに他所から移ってきた暴動扇動脱獄常習で名うての凶悪犯鶴田浩二が、紀元節のその日に監獄職員を皆殺しにして自爆抵抗するという、今これを見ているお前たち労働者も同じ天皇制の地獄に生きているんだぞとアジる、檄文の如き映画である。小沢茂弘の映画では『横紙破りの前科者』『傷だらけの人生 古い奴でござんす』と共に最も過激な映画であろう。
三隅炎雄

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