Yoko

地獄門のYokoのレビュー・感想・評価

地獄門(1953年製作の映画)
3.7
 平治の乱にて大役を果たした六波羅の田舎武士である盛遠。
平清盛からの褒美として彼が要求したのは、すでに夫がいる袈裟という女であった…。

 日本のカラー映画としても初期作である今作には、緑林に生える栗といったような白黒映画で演出が難しい情景描写への気遣いが散見。
とりわけ、京マチ子演じる袈裟が纏う衣装に盛遠のカラーの一つである紫が混じり込んでいることは子細ながらも目を引いた。
長谷川一夫の漲らんばかりの形相は強く記憶に残る。

 人物を物陰から覗き見るような構図や琴や琵琶の不吉な音色が醸し出す緊迫感。プロット自体は最早手垢まみれで斬新とは言えぬものの、地獄の入り口である門の使い方にも目を見張るものがあった。
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