地獄門の作品情報・感想・評価・動画配信

「地獄門」に投稿された感想・評価

人妻に恋をし、夫との取り合い、恋に狂い周りが見えなくなった男。地獄の門、美しい、、、
Jaya

Jayaの感想・評価

2.1

このレビューはネタバレを含みます

盛遠を筆頭にとにかく演技も演出も歌舞伎でも見ているようで、相当に古臭く不自然でした。顔も演技も濃すぎる…。

盛遠が恋に狂ったというよりも、元々頭のイカれたバカに見初められてしまった、というようにしか見えませんでした。袈裟の妖艶さも全く生きていなかったように思います。清盛もただのタコ入道でしたし。
セットもキレイにはキレイですが、余りに生活感がありませんでした。あんなもんなんでしょうか…。

ラストの掛け合いも、余りに唐突に正気に戻ったようで、噴飯ものでした。思っていることを全て口に出すような演技は止めて欲しい…。

どこが名作なのかさっぱり分からなかった映画でした。
たく

たくの感想・評価

3.8
平安時代末期に平清盛に仕えた男が人妻に恋慕する菊池寛原作の話で、カンヌのパルムドール受賞作。
冒頭が歴史モノっぽい戦国絵巻で始まるのでちょっと苦手かなーと思ってたら、恋に狂った一人の男の醜態に収束していく展開に引き込まれた。

長谷川一夫演じる盛遠が最初は主君に忠実な立派な男に見えるのが、袈裟への恋に溺れてだんだんサイコパスにしか思えなくなってくるのが怖い。袈裟の夫が人間のできた立派なキャラなので余計に引き立つ。袈裟役の京マチ子は「羅生門」から3年後で、貞淑な妻を繊細な仕草で演じ切る。
全体に映像が美しいんだけど、終盤の袈裟と夫の晩酌シーンで静けさと緊張感が画面からひしひしと伝わってくるのが特に素晴らしい。盛遠が袈裟の叔母の住所を聞いて「ああ、栗の名所か」って言わせておいて、後で訪ねるときにちゃんと栗の木のカットを入れる演出も印象的。

「狂った一頁」で衣笠貞之助監督に興味を持ったので鑑賞。他も観てみたいけど、市場では今のところこの二本しか観られないのかな?
権力の絶頂期の平清盛に仕える武士、盛遠(長谷川一夫)が美しい人妻袈裟(京マチ子)に一目惚れしてしまい、猪突猛進して進退を誤る話。

見ていて、全く主人公盛遠に共感できない、というより、残念だが「お前のような奴は、地獄に堕ちろ!」としか思えない。

最高権力者の清盛に反旗を翻した兄を非難するくせに、お前は女狂いかい!恥を知れ!武士は二君に仕えずだからと兄を非難するが、そうだとしたら、袈裟のいう、夫と決めた人を一生愛し続ける『女の道』も理解できるはずではないか!この身勝手さは本当に地獄に堕ちるべきだぞ。

京マチ子演じる袈裟は、似てると言えば似てる設定の黒澤『羅生門』とは全く違う行動をとる。よく考えたら、この作品、このまんまの設定で始めて、『羅生門』と全く同じ展開にしていくこともできる。是非、やってみてほしかった。(笑)

しかし、この映画は、カンヌ映画祭を制したほどの優秀な芸術作品。

何が評価されたかといえば、この純日本風の雰囲気が美しいカラーで綴られているところではないか。京マチ子の平安の衣装を着ての身のこなしはまさに芸術的だし、盛遠が忍び寄る、人妻袈裟の住む家の部屋から見える月の美しさなどはもはや東洋神秘的で幻想的だ…。

こういうのに、知性ある西洋人の人たちは本当に弱いんだなぁと思ったなぁ。
ちろる

ちろるの感想・評価

3.9
まさか70年近く前に撮影されたとは到底思えないほどの、とにかく鮮やかなカラー映像、そして衣装に引き込まれる人間ホラー時代劇です。

ストーカー肉食系田舎侍VSノー天気草食系夫

心の葛藤を押し隠し、強い信念を持つ袈裟とは対照的に彼女を取り巻く男どもは愚かである。
夫は結構優しい穏やかな人であったが、
相当な想いを抱えつつも帰った妻をよそに読書しながらウトウトする姿にはちょと、ちょっとちょっとと思ったよね。
京マチ子さまが纏う豪華絢爛な着物と彼女が琴を弾く姿は美の再骨頂のよう。
簾越しに見える満月の光は袈裟の大きな眼に溜まる涙を照らし嗚呼・・・
大きな後悔を抱えても、過ぎてからではもう遅し。
力尽くで人の心など奪えると思った罪
愛し合ってるのに苦しみを吐露できなかった罪
いくつもの罪が重なり合って悲劇の結末まで一直線。
妖艶な京マチ子さまは、このような聖女よりも個人的には魔性の女の方が好きですが、それでも日本映画界を初期から背負ってきたあの彼女の存在感は、長谷川一夫氏の大根演技(申し訳ない)をうまくカバーして、立派な平安時代サスペンスと仕上がっている。

現代であればドロドロのメロドラマなのかもしれないが、テンポの良いプロットと、艶やかな京マチ子さまがこんな風に画面に淑やかに置かれれば、こんな風に日本映画史に残る作品となるのは言うまでもありません。
梶岡

梶岡の感想・評価

3.9
2020/9/5(土)

「地獄」というのは、僕らの立つ地面の下や壁の裏に否応なく"ぬらぬら"とへばりついていて、たまには路面が剥げてめくれ上がったり、何かの拍子に反転したりして視認できることもあるけれど、多くの人々はそれに気が付かないか、分かっていても無意識下で黙殺している。



今から半年前、3月のことだ。

大阪に来てからやっと1年。
ようやく土地勘も身についてきて、感染性の関西弁にワードプロセッサが犯されつつあった平和な日常を破壊したのは、とある着信だった。

それは、僕と同じく大阪の大学に進学した同級生から。
彼のイニシャルが「K.K」であるから、夏目漱石の『こころ』と被ってしまうのが少々鼻につくが、彼のことは「K」と呼ぶ他ない。


「梶岡久しぶりー。ところで次の土曜とか暇?」


暇…。
んーー。

暇か否かで言えば確かに暇なのかも知れなかった。
しかし、この切り出し方は頗る卑怯な方法だと僕は思う。皆さんも経験があるかと思うが、こういう時は要件を述べるのが先決ではないか…?
そもそもこの段階で単刀直入にKが事情を明かしてくれれば、こんな後悔をここに吐露することもなかった筈だ。

「おーKじゃん。久しぶり。特に予定とかはないけど、どしたん?」


この返信が地獄への急行券だった。


それから色々やり取りをしたあと、なんだかんだでよく理由も聞かないまま東大阪まで、阪急電車に揺すられること小一時間。
卒業式振りに再会したKは、髪色こそ明るい金髪に化けてはいたものの、屈託のない笑みは能面のように彼の顔に染み付いたままだった。

Kのバイト先だという駅の近くのラーメン屋さんでひと休みしながら、大阪に来てからのあれこれや受験期の思い出のいろはに花を咲かせていたが、明らかに彼はモジモジとした様子で僕に本題を切り出すタイミングを見計らっているようだった。

ひとしきり話し切ってから、柄にもなくお淑やかにスープを啜る彼に向かって、痺れを切らしてとうとう此方から聞いてみる。


「で、急に呼んできて何かあったん?」


「あー、あのな…笑」


纏めると以下のような事らしかった。

①翌日から丸3日間、友達4人が部屋に泊まりに来る
②部屋の整理整頓を手伝って欲しい
③現状、部屋はまあまあ散らかっている

久々の再会であったし、キャラに似合わずテンションが上がっていたのか、僕は「なんだそんな事かよw」と二つ返事で承り、ステステと歩いてなすがままに彼の家に幽閉された。
しかし、僕が見落としていたのは条件③の"まあまあ"という言葉の定義だった。



そう。
その"門"をくぐると、そこは生地獄だった。


とりあえず当たり前のように足の踏み場はない。よく分からない湿ったゴミ袋の中には、生肉のような謎めいた塊とマヨネーズのような白濁液がごちゃ混ぜになっていて、それらが一単位となって放牧地みたくあちらこちらに点在している。
机と思しき段差の上には褪せた空き缶と半分だけ飲み下したペットボトル。どれも死亡推定時刻は半年以上前と思われる骨董品だ。
極めつけは食べかけのカップ焼きそばやらコンビニ弁当やらが床にそのままひっくり返っていた事だ。乾いた麺類をパキパキと床から引き剥がすと、その1本1本に繁殖期の海ぶどうのようにズラっと並んでいたのは、よく見てみると大量の蛆虫であった…。

思わず耐え難い吐き気を催し、命からがら換気をしようと窓を開けるが、こじんまりとしたベランダにもゴミ袋は山積みの状態であり、死体遺棄を疑うほどの荒れ果てた状況に、思考は完全停止した。

当然、水周りにも異様な匂いがムワムワと立ち込めていて、部屋の暗さと陰鬱な空気を助長するかの如く青カビと赤カビが最悪なモザイク・アートを壁に描いて、バングラデシュの国旗みたいになっていたことが今も頭から離れない。間違いなく今年最大のトラウマだ。


そっか。これが、「地獄」。


捨てても棄てても無限に湧き出てくる無数の物や命の吸い殻達がひしめく、15㎡ほどの混沌。


…結局、大半を片付けて申し訳程度の寝床を作るのにさえ、二人がかりで計9時間もかかってしまった。
気が狂いそうなおぞましさとは裏腹にヘラヘラと諂ってニヤニヤするKの顔を見ると、憎悪を通り越した恐怖が湧いてくる。
その日の僕の精神は、その部屋に完全に破壊されてしまったのだった…。



そして約半年経った今日。


今朝目覚めると、スマホの通知には"K"の名前が。


そうか……。
あの『地獄門』が、その支柱に腐蝕と死者の香りをしたためて、また僕を東方へと誘っている…。


梶岡の行方は、誰も知らない
鹿の仔

鹿の仔の感想・評価

2.0
 衣装が鮮やかで綺麗。仕草がいちいち優雅で、いわゆる平安時代の美しさがつまっている。ストーリーは…ひねりも無くすっきりともせず、まあ古い映画はこんなもんでしょう。
hmsuga

hmsugaの感想・評価

3.4
衣装やセットはよかったが、脚本がイマイチ。主人公がただの迷惑男だからよい話になるわけもなく。
カンヌのグランプリは時に???がある。
デジタル復元版は見事に蘇みがっていた。
yukiko

yukikoの感想・評価

3.5
浪曲で聞いたことのある「袈裟と盛遠」を思い出しながら観てた。

この映画は、最後の5分が全てと思った。
「殺しても、せんないこと。死んで償うのではなく、生きて苦しめ」なところ。

(京マチ子映画祭)
カンヌのグランプリやアカデミー衣装デザイン賞の受賞など、国際的評価が高いのも納得。
衣装や美術がきらびやかで、まさに平安絵巻のよう。雅な世界が見事に再現されている。厳島神社の舞楽や競べ馬などのシーンもあり、いかにも外国人うけしそう。
ストーリーは単純明快。長谷川一夫演じる盛遠の思い込みが怖すぎる。昔の大スターがこんな役をやること自体に驚いた。
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