紅茶

惑星ソラリスの紅茶のレビュー・感想・評価

惑星ソラリス(1972年製作の映画)
4.0
SF映画ならではの特撮技術を抑え、人間関係、それも人類愛というスケールの大きい普遍的な愛について重点的に描かれている。
ソラリスの海という謎に満ちた知的生命体の前で人間はどうすることもできず、本来すべき海の研究そっちのけで、クリスは潜在意識から物質化した今は亡き奥さん、さらには彼の両親に出会う。クリスは齢40近いが、若き日の両親に対し、子どものように甘える姿が映し出される。その有様を描くこと自体が精神的な退行を是とする趣を感じさせる。現実に重ねる見方をすると、当時の米ソ宇宙開発競争に冷や水を浴びせるアイロニーっぽい。
タルコフスキーの作品は毎度撮影が難航したり、予算的な問題もあったりして、限定的な環境で作られていますが、それだからこそ生まれる彼なりのカラーが色濃く表れていました。
紅茶

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