茶碗むしと世界地図

ヤング・ゼネレーションの茶碗むしと世界地図のネタバレレビュー・内容・結末

ヤング・ゼネレーション(1979年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

 1979年に公開されたアメリカの青春映画である。

 デニス・クリストファーをはじめとする当時の若手俳優たちが生き生きとしていて、キャラも立っている。カッターズと呼ばれる落ちこぼれたちの再起を自転車レースを通して描くわけだが、チームの練習とか挫折の描写が思ったよりも少なく、正直これで大会で優勝するのは無理なのでは……?という気はする。ただ、デイヴ(デニス・クリストファー)がケガを負って交代を余儀なくされたマイク(デニス・クエイド)たちがを走者を押しつけあうみっともなさとか、結局全員が捨て身で走るハメになるところとか、そういうカッターズの無軌道ぶりがこの映画の良さなんだろうなと思う。主軸となるデイヴの家庭環境はけっこう掘り下げられていて、父親のストーラー(ポール・ドゥーリイ)が優しさや細やかさといった父親としての「男らしさ」を果たしていく流れはけっこう面白いし、今見てもここはじゅうぶん現代的なのじゃないかと思う。

 吹き替えに関しては、1984年に放送された日本テレビ版を見たのだが、池田秀一や玄田哲章といった今や大ベテランである声優たちの若々しく瑞々しい演技が聞ける。玄田哲章の繊細そうなシリル(ダニエル・スターン)、今は亡き鈴置洋孝の皮肉でとんがったマイクなど、たいへん貴重なものである。ポール・ドゥーリイをあてる大塚周夫も絶品で、シリアスなだけではなくお茶目な感じもあって作品全体を引き締めている。