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ポセイドン・アドベンチャーのKZKのネタバレレビュー・内容・結末

3.9

このレビューはネタバレを含みます

リメイク版のポセイドンしか見たことがなかったので借りてみた。

以下、自分なりの解釈。
冒頭、モーセが十戒を受けたマタイ山についてベル氏が妻に話すシーンがある。このシーンにより、スコット牧師がモーセ役となり「出エジプト」ならぬ「脱ポセイドン号」を行う運命にあることが暗示される。(船自体はニューヨークを出てギリシャに向かっているが、ローゼン夫妻の目的地はイスラエルであり、出エジプトの際の目的地。)
モーセの場合、虐げられていた受難の民を先導し、紅海を割りエジプト脱出を行うわけだが、スコット牧師の場合はモーセと違い、現代版のリアリスティックな先導者となる。
彼の言葉はいずれもオーソドックスな教義に反し、ジョン牧師からは軽蔑の目で見られる。
「跪いて神に祈って何になる」
「神は我々の想像もつかないほどの長期的プランを持っていて、我々一人一人の問題について考えてくれるほどヒマじゃない。」
「個人は過去と未来を結ぶ結節点としてのみ意味がある。個人の問題を解決するために神に祈るな」
「個人の問題については『自分の内なる神』に祈れ。自分のために戦うガッツを持て。神はトライする者を愛する。」
モーセの場合、迷える民を引き連れて脱出を図ったが、スコット牧師の場合、迷える民のうちから「トライする者」だけを連れていく。
最後は冒頭の説教のとおり、個人よりも全体を生かすために犠牲となり死んでしまう。
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