垂直落下式サミング

ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎行進曲の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

4.5
当然ながら、愛徳のお馴染みの面々に惹き付けられる。ケンカの強いトオル。ぜんぜんモテねえヒロシ。五十嵐いずみの翔子が、めっちゃマブかわいい!すき!そして最高のスケ純子!
これぞビーバップな顔ぶれが嬉しいけれど、中山美穂はアメリカに旅立ってしまったため、本作から降板。ヤンキーに絡まれるのが嫌で、二作目の時点で出演を渋っていたとか。残念至極。
脇役・のぶおの活躍が見物。これまで、それらしい見せ場がまったくなかったが、へっぽこ舎弟にも五分の魂な活躍を見せる大追跡。今までコメディーレリーフ的な扱いだったのが、しっかりと男をみせていく。
さらには他校番長オールスターまでも動員!一作目で戸塚水産のヘビ次を演じた小沢仁さんは、北高校の前川となって再登場。一作目では戸塚の江島、二作目では城東の山田を演じた土岐光明さんも、本作以降は立花商業の郷ミノルとして定着。お馴染みのネームドキャラとなる。
みんな話のわかる奴らで、いつの間にかヤンキーネットワークが形成されているのが面白い。シブいモテ男の前川。可愛さ弾ける菊リン。なかでも、ゴリラいじりにキレるミノル君めっちゃキュートだし、そのあとの迫る電車を間一髪でかわす危険スタントもヤバい!
今回の最大の敵は、ゲーセンにたむろする無期停学組のリーダー・リョウ。トオルたちに比肩するくらいケンカが強く、ヤミ討ちで菊リンや前川を病院送りにしてしまう。この場面は、建物の屋根の上を走り回ってケンカするのだけど、かなり高さがあり普通に怖い。
異質なのは、前座番長として噛ませ犬的に登場する桜ヶ丘のハラマキ。これまでのワルどもと比べると、明らかに格が一段落ちる。律儀に何度も果し状を書くのに、愛徳の面々にまったく相手にされずコケにされ続ける。だんだん可哀想になってくるくらいシャバ僧。
コイツは、チンピラじゃなくてバンカラなんすよね。チンピラってのは状態のことを指しており、本人や環境に問題があって、健常な社会でマトモに生きられない人間のことを言う。対して、バンカラとはライフスタイルを指す。あえて粗野に振る舞い時流に迎合しない意思表明のこと。
後者は、群れをはぐれた乱暴者たちが幅を利かせ闊歩し始めたストリート時代には、生息域を失ってゆく。お笑いキャラとして描かれているけれど、適者生存に敗北してしまう悲哀を感じた。
最後の大見せ場、趣向を凝らしたラストバトルには大興奮必死!火花の散るなかを横並びで進んでいくヒロシ&トオルコンビのカッコよさから、鉄工所の大バトルへ雪崩れ込む。平場の殴り合いじゃなくて、毎度その場所の性質をいかしてアクションをみせていくのが、ビーバップのいいところ。リーゼントが燃えないかヒヤヒヤする。
『仁義の墓場』のポスターなど、深作リスペクトも随所にみられ、地井武男の文太モノマネにも磨きがかかっている。