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菊次郎の夏のmylifeのレビュー・感想・評価

菊次郎の夏(1999年製作の映画)
4.7
余りにも懐かしい「菊次郎の夏」を再鑑賞してみた。1999年の映画やったのね。当時に一度、観たきりなので再び触れるのは、おそらく20年近くは経過しているとは思う。

いゃあ、もうズルい。今まで散々バイオレンスを見せつけておいて、この緩急。見事にしてやられた。涙腺が緩みっぱなしやんか。これは、当時に観た時より数倍良かったかも知れない。

久々とは言え割りと内容は覚えていた。おじちゃんと正男のロードムービー。夏休みに今まで会ったコトが無い正男の母親を探しに行くと言うもの。そんな正男は、おばあちゃんと暮らしている。その道のりは東京の浅草から愛知県の豊橋まで。

えっ、そのぐらいの距離ならば半日あれば余裕で行けるよね。もう寄り道だらけの前途多難な旅である。まぁ、保護者として同行するのが菊次郎おじちゃんやから…しょうがないか。何処に行っても揉め事ばかり起こすトラブルメーカー。

菊次郎は背中に刺青がある。今は暇していそうやけど、元々はそっち系の人だと推測される。と言うよりも、ほとんどの監督作品でのビートたけしは背中に絵があると思うけど。

つまり、何が言いたいかと言うと他の作品と比べると穏やかな緩急を感じるが、随所では荒々しさを覗かせる。でもまぁ、ソコを強調しているからこそ、よりギャップを感じるものだとも思える。上手いなぁ。

バス停で写真を見つめる正男のシーン。菊次郎のポツリと発した台詞が後々まで響いてくる。この一言があるとないでは大違いなのだ。来ないバスを待ち過ぎやけど。

母親と会う目的を敢えてラストシーンにしなかったのも個人的には正解だと思える。まぁ、全体的には…コミカルなシーンが多いが全て理にかなっているようでもあった。絵日記スタイルも非常に良い。

当たり前すぎて言い忘れていたが、久石譲の「Summer」との相乗効果も当然ながら素晴らしい。岸本加世子の存在感も際立つ。あの菊次郎をコントロール出来るんやからね。大したものだ。

最後に個人的に気に入った台詞をピックアップしてみたい。菊次郎がヒッチハイクを試みるがトラック運転手から、何だお前は?と聞かれた時の返し。

『ヒッチハイクだ、バカヤロウ』

この上ない名言だと思う今日のこの頃。
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