グラビティボルト

西鶴一代女のグラビティボルトのレビュー・感想・評価

西鶴一代女(1952年製作の映画)
3.8
襖を開けるほど画面内の空間は奥行きを魅せていくのに、
田中絹代には人生の選択肢が全くなくて、ただひたすら不幸が積み重なって堕落してしまう。
正直、ただ深刻で不幸な女の話・・・なのかもしれないけどどうしたってキマったショットの魅力には抗えない怪作。

「男に土下座されたら女は従うしかない社会構造」を引きの画で明確に切り取っている点も凄い。
明確な性暴力の描写なんぞなくても、こういった歪みをはっきり撮るだけで、
映らないものが見えてくる。