見ててだいぶ精神がすり減る。見終えた余韻が悪夢から覚めたときのそれ。
お春の仕草や振る舞いが終盤にかけてどんどん俗っぽくなっていく、この「聖」から「俗」への転落がとにかく悲痛だった。化け猫の仕草を…
これまでは、年齢のいった田中絹代を無理やりお姫さまに仕立て上げる作品が多かったゴテ健であるが、本作品では絹代にはじめて汚れ役を演じさせている。溝口健二と田中絹代が単なる映画監督と女優を超えた関係であ…
>>続きを読む溝口健二は「女」を描く映画作家だといわれるが、この表現では不十分だ。彼は「気高い女」の映画を作った。本作にあっては、その「気高い女」とは田中絹代のことである。
上流階級に生まれながら、不幸の連続で街…
『西鶴一代女』は、1952年に公開された溝口健二監督の代表作の一つです。井原西鶴の浮世草子『好色一代女』を原作とし、江戸時代を舞台に、一人の女性が社会のしがらみや男たちに翻弄されながら、転落の人生を…
>>続きを読む溝口健二の魅力の一つとして分かったことは、人(特に女性)を悲劇の中に位置づけ、その悲劇性を真正面から描き出すと同時に、その中でも気高く、絶望を跳ね除けようとする人間讃歌を、それがはっきりと表れるショ…
>>続きを読むお春さんのとんでもなく不幸な物語
不幸すぎてありえなさすぎる展開ではあるけど古典劇ということでさほど違和感なく受容
映像がちょっと乱れてたり常にノイズがあったりしたのでデジタルリマスターしていただき…
封建制度下の江戸時代を舞台に、運命に翻弄され悲劇的流転の人生を歩んだ女性の一生を描く。
宮仕えからの洛外追放に始まり、松平家への嫁入りと放逐、遊郭の太夫、呉服屋の女中、扇屋への嫁入り、寺の尼、物乞…
街娼となった女が過去に想いを馳せるという構成から、少なくとも死ぬようなことがないことは保障されているけれども、それにしても凄惨に過ぎる。自らの本意を果たすためならまだしも、ただ流され、嬲られていく女…
>>続きを読む江戸時代の封健社会に生きる街娼のお春の半生を描いた溝口健二監督の名作。老いたお春がふらふらと寺に入り込んで自分のこれまでの人生を振り返る時に流れる雅楽っぽい音楽とカメラワーク、そこから作品の本筋に突…
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