西鶴一代女の作品情報・感想・評価

「西鶴一代女」に投稿された感想・評価

越えてはいけない一線を襖で区切って、あとは動線で表現する演出すごかった。
この襖で一線を表すのは平安時代の絵巻における表現と似ていると思った。
絵巻では畳などの線から登場人物たちの心情を表現したりしている。線が平行だと安定した関係、交差する線だとすれ違う想いなどを表現してるらしい。溝口健二は子供の頃絵を描くのが好きだったと何かで読んで、多分絵巻や日本画からの影響も受けているはず。溝口健二は、長回しや奥行きに重きを置いていると思ったから、この映画はある意味意外だった。
そういう二次元における効果を、溝口健二なりに噛み砕いて三次元に変換できている点でもうすごい。
全てにありがとうございました。

このレビューはネタバレを含みます

 物語は御所にまで仕えた主人公が洛外追放になり、島原へ行ったり追い出されたり、見受けされたかと思えばまた追い出されて夜鷹になってしまい最後は尼となるまでの女性の一代記。
 
 ひたすら運命に翻弄されて流れていく話ですが、何と言ってもワンシーンワンカットの映像美が凄いです。登場人物の配置だけでなく、カメラの構図や小道具の位置、画面の奥にいるエキストラに至るまでどの画も絵画のようになっているのが凄いです。登場人物が画面に出入りするのも計算されているかのように一定のリズムで行われるので気持ちが途絶えることがなかったです。
 日本の封建主義や男尊女卑が描かれて1人の人間がこれでもかという不幸の連続でどん底まで落ちていくのが描かれていきます。自由な恋愛はやっちゃいけない時代。女性が男性を求めたら追放されるという。けど男性の性欲処理の道具として夜鷹がいたりして。

 なんて生きにくい世の中なんだとまざまざと見せつけてくれる映画でした。それでいてそんな世の中でも生きていかないといけない現実と希望。
lag

lagの感想・評価

3.8
The Life of Oharu. She loses everything.

女は子供産む機械じゃない、なんて大声で歯向かえない時代。
ある女性が、性的に搾取され、心身ともに虐待され、遊女物乞いにまで零落する。やっと手に入れた幸せも、泡沫のように消え去る。賢くて心優しい善人だが、女性というだけで軽んじられ、何の落ち度もないのに世の中に弄ばれた可哀想な女の一生。可哀想すぎる。救いがない。
溝口健二監督の熱意が伝わるし、田中絹代は名演だし、美術衣装も豪華で見応えあり。
まさ

まさの感想・評価

4.5
つらすぎる…
お春…
こんな不幸な人生があるだろうか。若くて美しい女性・お春の波瀾万丈な人生が描かれる。

お春に幸せになってほしいと何回想っただろうか。幸せになりかけることは何度もあった。だが、幸せになる前にどん底に落とされる苦難の人生が繰り返され、とてもじゃないが観てて平常心ではいられない。苦労を重ねたお春…最初は美しかったお春の顔が、どんよりと決して美しいとは言えない顔に変化していく…お春を演じきった田中絹代の圧巻の演技に脱帽だ。

溝口健二監督作品は本当に素晴らしい。私が今まで観てきたのは雨月物語、残菊物語、山椒大夫、近松物語だが、どれも傑作だった。そして本作も納得の大傑作だと思った。私はよっぽど好きな作品でない限り4.5点以上は付けないんですが…

溝口健二監督は日本の誇りです。
柱越しのカメラワークが良すぎる
さらにほとんどの建物がセットだっていうからおそろしい
特に縁側沿いに息子を追いかけるシーンが好き

あとラストシーンのお経合唱もよかった
Kazu

Kazuの感想・評価

3.5
ある女性が封建的社会で性的搾取され続ける物語だから観ていていい気分はしない。けれどワンカット長回しのロングテイクは緊張感があるし、カメラが大胆に動くから飽きさせることはない。
いい映画なのはわかるんだけど、40代の田中絹代が10代、20代のお春を演じるのはさすがに無理がある。若返らせるメイクより老けさせるメイクの方が簡単なんだからもうちょっと若い女優使えばよかったのに…二重アゴが気になって仕方がない。
後半で歳を重ねて女優の実年齢に近づいて来てようやく田中絹代の演技がリアリティを増していき、やっと感情移入できた。
misato

misatoの感想・評価

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真実の愛を求めた故に堕ちるとこまで堕ちた女の話。全般主にロングショット。結末も彼女が自分自信を救う道としての決断だったんだと思う。昔のフィルムだからか、画面が暗すぎて観にくかった
不幸に終わりがない。それでも生きていかなければいけない。浄土真宗を思わせる物は、せめてあの世には他力本願で極楽へということなのか。 一生記憶に残りそうな作品。
厚化粧で老醜を隠したお春が、羅漢堂の仏像に男の顔を重ねる。(このシーン、見事!)
それから、お春の回想シーンで語られる物語。それは、御殿女中→殿の妾(というか世継ぎづくり役)→島原の女郎→商人の女中→扇屋の人妻→などなど、外国で『お春の一生(LIFE OF OHARU)』なるタイトルで絶賛されているだけある。凄まじい一生を生きた女の物語が描かれる。 
なんと素晴らしい作品。 

お堅い話ばかりではなく、殿様の跡継ぎ探しをしている家老が、京都の大勢の女を検分するが、家老「いくつじゃ?」→女「25」→家老「なんだ、売れ残りか」は笑える。(現代とは異なる時代感覚でのユーモア) 

女中していた家のオカミ(沢村貞子)に髪を切られたお春(田中絹代)が、ネコを使って復讐するシーンなどは執念を感じる。 
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