Shibawithbread

死の王のShibawithbreadのネタバレレビュー・内容・結末

死の王(1989年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

我々は生と喜びを放棄する

このチェーンレターには
長い戦いを終わらせるための
最後のメッセージが記されている
貴方がこの手紙を手にするとき
我々はすでにこの世にはいない

君も仲間にこの手紙を送ってから
ためらいを捨て
自分の人生に向き合うのだ

我死ぬ 故に我あり!

人生は幻想であり無意味なものだと認めよ
我々の生命は常に死に向かっている
我々は彼に向かい彼と契約するまでは
ただ苦痛と不条理のみ
人は常に孤独だ
人生は終わりなき戦い

古の欲望
甘いささやきに逆らう
だがその手からは逃げられない
死の王の死の欲望
それを満たしてほしい
今がそのときだ

生など時代遅れだ

神は6日で天地を創造し
7日目に自分の命を絶った

死を迎えよ

—「七日間の兄弟」による福音書

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死の王は生きるのをやめさせる


月曜から日曜日、七日間、一週間
世界では毎日人が死んでいる
生まれ落ちたその先には死がある

・月曜日の入浴オーバードーズ君几帳面だったなあ
・ウシ君カエル君
・映画の中の映画の中の映画、揺れる男
・黒猫ちゃん
・美術さんってすごいあの腐りゆく死体の材料はなんなんだろうか
・金曜日カップル幸せそうにも見える
・土曜日の打たれたボーカルの斜め後ろの人が静かに楽器置いてて、そんな場合かあーっ!ってなった

輪廻転生!しかし私の来世はきっとゴミムシあたり!
徳を積むって難しぃ!
日曜日君の気持ちチョットわかるゾォー!

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大量殺人者は標的をランダムに選ぶ場合がある
殺人行為によって
無名性や性的不能を埋め合わせるのだ

20世紀人間は我慢しないことを覚えた
不幸や災難をじっと堪え忍んだりはしない
誰もが正当な扱いと正義を求めている
それゆえ人生にうとんだものも静かな退場はしない

死に方によって人生に意味を与えようとする
その欲求不満は復讐の形で現れる
大量達人者は自分を無視したものを狙って復讐する

初めて自分が歴史を創るのだ
死んだ生から 生きている死へ
少なくとも数日間は世間の注目を集めるのだから
この馬鹿げた希望は非存在の全人生よりはるかに濃密だ

無動機殺人者はポストモダニズムの殉教者である