刑務所の責任者にとっての脱走犯というものは、人間としての尊厳さえも奪いかねない今どきの言葉でいえばいじめのターゲットとなる。一見、善良な市民に見える責任者の人間としての最低な部分が出て、それは決して自分の子供に自慢できない人間と化ける。生き恥も同然だと思う。貧困の中で5ドルを盗まざるおえなかった人間を、時の政治の犠牲となってアルカトラズに送られ、脱走を企て、仲間の密告により逮捕。その脱走未遂犯は、刑務所の責任者の琴線に触れたというだけで、想像を絶する虐待を受け、密告した仲間を殺人する。法廷での彼の言葉が印象深い。彼を殺したのか?「やつらが、僕を道具にして彼を殺した。殺したのは奴らだ。」法廷ドラマの中でも痛快な作品です。