【淡々と、容赦なく】
このような地方都市を舞台にした人情映画はやはりバリー・レヴィンソンに尽きる。
心暖かい家族の一代記であり、生まれ育ったボルチモアという街への作り手のラブ・レターがある。どこか大林宣彦の【尾道三部作】を彷彿とさせる出来栄え。
子役時代のイライジャ・ウッドが可愛い。アメリカの良心的な部分に言及するアプローチはやはり『ダイナー』や『レインマン』と大差がない。明るくもなければ、暗くもない。ストーリーに起伏すらない。
監督したレヴィンソンはアメリカのローカルな「下町」とか貧乏臭い雰囲気の場所が似合ってるのだろう。いわゆるコッポラのような都会的貴族趣味が感じられない。そこがなぜだか好感の湧く、渋い群像劇だった。これは隠れた名編じゃよ〜。