歌舞伎に精通する伊藤大輔ならではの傑作。クライマックスの花笠まつり。山を飛ぶ花笠は、伊藤お得意の御用提灯の波を思わす。
役者と医師の娘の駆け落ち。それを追う許嫁の月形。彼は医者である。役者は失明状態で舞台を務めているが、限界。舞台を見ていた月形は治療を申し出る。代償として婚約者を帰すこと。目は治り、女は月形のもとへ。しかし女は役者を諦めきれない。「それならその目を」と目を潰そうとする。月形は姿を消していた。「許す」との置手紙を残して。峠を越える旅役者たち。そこには二人の姿も。観終わっても、三人の気持ち、その感動が暫くやまない。

女形に惚れる女の気持ちがわからん。月形龍之介サマの方が男らしくて格好イイのにな。

旅回り道中の荷車シーン挿入が効果的。互いに荷車を載せて押し合い、助け合い。夫婦の“愛のカタチ”ですな。