きょ

FAKEのきょのレビュー・感想・評価

FAKE(2016年製作の映画)
4.5
もともと佐村河内氏についてはあまり関心を持っていなかったけど、どうやらこの映画がやばいらしいという噂を聞きつけ観てみた。
ドキュメンタリーというもの自体、退屈なのであまり好きではないけど、これは観る価値があったと思う。

まず思ったのは、マスコミって怖いなあ という事。
ニュースや新聞で見ている限りでは、サムラゴ-チはもう完全に悪者でしかなく、ネットでは散々おもちゃにされるし、世間の笑い物だった。
(この"世間"とかいうものもかなり怖い。)
自分も若干馬鹿にしてる部分があった。
でも、この映画を観ていると、佐村河内氏の人間的な部分が垣間見えて、なんだか同情せずにはいられなかった。
誰だって、皆と同じように、音楽を聴いて いいなあ と思う事もあるし、猫を見て癒される事もあるし、花を見て 綺麗だなあと感じる事だってあるはず。
一人の人間を、どこまでも、飽きもせずに虐げ続ける事にいったい何の意味があるのだろうか…
何よりも、今まで長い間大々的に報道されてきた事が、悪意すら感じるかなりねじ曲げられた形だったのを知ってショックを受けた。
スクリーン越しではあるけど、バラエティ番組をみてあんなに痛々しい気持ちになったのは初めてだった。
映画の中でも触れていたけど、テレビ(バラエティ番組)をつくっている人たちは、そこに居る人たちをどう使えば面白くなるかしか考えていないんだと気付いた。当たり前っちゃ当たり前だし、しょうがない事なのかもしれないが…
決してギャグっぽい雰囲気は無いけど、思わず笑ってしまいそうになるシーンがいくつかあった。
いびきかいて寝てる人も居たし、そこ笑うとこじゃないだろ って感じのシーンでもけっこう笑っている人も居て、皆どういう気持ちでこの映画を観ていたのか気になる。
衝撃のラスト12分間 とかいうキャッチコピーはちょっと大袈裟な気はするが、終わり方も良かった。
あれは明らかに意図的な演出だし、
情報を鵜呑みにするな、メディアを疑え、自分の頭で考えろ という監督の強いメッセージだと思う。
この映画の内容でさえも、本当か嘘かなんてわからない。

ぬこかわいいよぬこ…(これだけは確か)
きょ

きょ