宮藤

FAKEの宮藤のレビュー・感想・評価

FAKE(2016年製作の映画)
5.0
物事の側面しか見ていないと知らぬ間にそっちに寄っていってバランスはとれなくなってくる
これは、その崩れた均衡をトントンと直すような映画だった

メディアの正義は「面白さ」であり正しいかどうかは二の次三の次
人生を謳歌している(ように見える)新垣さんを見る佐村河内氏の顔は怒りでもなく悲しみでもなく真顔です。わたしも同じ顔してました。
でもファッション誌に載る新垣さんを見て「やりたいだけだよね」という言葉が出たときは苦虫を噛み潰しまくりな顔になりました。わたしが。

この映画そして監督にとって佐村河内氏の聴力はさしてだいじなことではないように感じた
本当に彼は全てを欺いて障害者を喰い物にする悪人だろうか
ただちょっと自己プロデュースが上手くてナルシストなだけなのではないか

監督は衝撃のラストを撮るため、というかたったひとつの意地悪な問いかけをするためだけに氏の側に立っていただけなのかもしれない
でもたしかにこの問いかけは聴力云々ではなく核心を突いたもので、いつかは向き合わなければならない現実の問題

観終わったあとに残ったのは重い気持ちとメディアに踊らされていないかという不安と責任感
たくさんの人が観るべき映画
宮藤

宮藤