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夜叉ケ池のかずシネマのレビュー・感想・評価

夜叉ケ池(1979年製作の映画)
3.0
何の前情報も無く、原作も知らず、タイトルに惹かれて鑑賞。

冒頭の8分程は台詞がなく、学者先生か何かなのか、旅の途中らしい山崎努の様子がひたすら流れる。
山間の集落に着き、偶然出くわした葬送の列に手を合わせる山崎努ちゃんシュールで可愛らしいなぁ、このヒゲは付け髭かしら?
等と思っていると、やっと台詞が出、そしてゴミが入った努ちゃんの目を母乳で洗ってくれようとするマダムが登場して「これはとんでもない作品かもしれない」とようやく思う。

「おばさんて呼んじゃったけど(お姉さんだった…!)」のシーンは草不可避。
面白過ぎるw
坂東玉三郎が綺麗だから仕方ないんだけど。彼はこのおばさ…ヒロインとお姫様の2役を演じている。
自分はヒロインよりもお姫様の方が好きやな。所作が美しい。

・消息を断った友人を探しに集落へやって来た大学教授の山崎努、その地で根を下ろしていた友人と、友人を留めている動機そのものなヒロイン
・水不足で雨乞いをしている集落の人々、雨が降らんから生贄が必要でござる!
・夜叉ヶ池に閉じ込められている竜神、妖怪さん達、竜神お姫様は恋人に会いに行きたいが出られずにいるのでキレ気味

この三つ巴。
別々に話が進んでいくが、終盤で交じる。
ヒロインは池の近くの鐘をつく役割を担っていて、鐘をつく理由は、つかなければ夜叉ヶ池の竜神が容赦なく集落ごとゴルァするから。
先の母乳で洗眼云々は水不足で水を使いたくなかったから。

ちょうどアニメの日本昔ばなしでは夜叉ヶ池の話は無いんだっけ?と思っていたら、常田富士男が蟹として登場した。
予想の斜め上過ぎて吹く。
井川比佐志が鯉で三木のり平がナマズて。
牛女(牛面人身の妖怪)のバージョン違いみたいな、鹿ヘッドや山羊ヘッドの人達かわいい。
この妖怪達のシーンは、お姫様は綺麗だし、(少し子供向けのそれっぽかったが)特殊メイクも凝っていて単独で見ると悪くはないと思うんやが、全体で見るとテンポが削がれてかなり失速した箇所。
それまでのシーンの雰囲気からも逸脱していた。

加藤剛がお偉いさんに向かって死ね死ね言うの、吹くシーンじゃないけどちょっと吹く。死ね死ね団かいな。

最後の方、諸にミニチュアだと分かるんやがそれがいい。
ミニチュアや合成でない部分は撮影がとても大変そう。牛さん巻き込まないで…。
空撮で映ったのは山崎努じゃなくてスタントさんだとは思うけど、どえらい場所に立たされてて怖い。

最初の「この集落ヤバくね?」的な印象や雰囲気のままで最後まで突き進んでくれた方が個人的には好みだった。
でも、お姫様が綺麗で「昔話」とか「伝説」に登場する数々の人ではない女性のイメージのままだったのが良かった。
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