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夏の嵐のチネマエッセのレビュー・感想・評価

夏の嵐(1954年製作の映画)
4.3
19世紀のヴェネトで。イタリア統一後まだオーストリア支配下にあったヴェネトでのオーストリア側士官とイタリア 側侯爵夫人の悲恋物語です。ヴィスコンティがはじめて貴族を描いた作品になります。いわゆるヴィスコンティらしい絢爛な衣装、貴族周りの本物の装飾の数々はこの作品から見れるようになりました。

伯爵夫人がアリダ・ヴァリ、オーストリアの若い将校がファーリー・グレンジャー。ヴィスコンティがイタリア国外の俳優を使い始めたのもこの頃です。

貞淑な妻であったアリダ・ヴァリがまんまとフランツ将校との情事に溺れ、身も心もやつれていく・・・

私個人的な好みの問題かもしれないが、アリダ・ヴァリがどうも綺麗とは思えないのだが、こんも激情で先に幸せが見えない恋にはぴったりと思ってしまう。恋のドツボにはまったアリダ・ヴァリったら。

このメロドラマとイタリア統一戦争がうまく呼応していて、そういう歴史的背景を考えながら見るとこの作品は実は面白い。

ところで、Sensoのメインビジュアルはアイエツの「接吻」を意識していると思うのです。やっぱりこれもテーマはイタリア統一。勘繰りしすぎかしら。
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