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ふたりの女のチネマエッセのレビュー・感想・評価

ふたりの女(1960年製作の映画)
4.5
これはもうソフィア・ローレンの泥臭い演技が強烈でした。胸が苦しくなる、涙が出る。。

チェーザレ・ザバッティーニ脚本xデ・シーカ黄金タッグの作品でもあります。どう黄金なのかというと、この2人でさまざま歴史的な名作を生み出しています。「自転車泥棒」「靴磨き」「子供たちは見ている」・・・ecc.ecc….

ネオレアリズモ作品によく題材となった戦時中、しかもイタリアにとっては1943年という過渡期を描いています。(イタリア ファシストが弱まり、ドイツ軍、アメリカ連合軍など様々な国の軍が上陸している時期)

ストーリーとしては第2次世界大戦中、女手ひとつで娘を育てている母がローマから自分の実家のあるLazio州の郊外の村(Ciociara)へ2人で疎開するところから始まります。
旅の途中や村で爆撃などがあるのですが、その迫力は予想以上だとおもいます。まるでドキュメンタリーをみているよう。

主演はソフィア・ローレン。このチョチャーラという地域はラツィオの中でもわりとカンパーニャ州寄り、だから村人はちょっとまたナポリっぽい訛りがあって、だからソフィアローレン的にもぴったりです。

実は最初の配役は、アンナ・マニャーニが母親役、娘がソフィア・ローレンだったのですが、アンナ・マニャーニがそのオファーに対し激怒、拒否(なんでソフィア・ローレンの母親なんかやらなくちゃいけないのよ!私はまだまだそんなばばあじゃないわよ!と言ったかは知りませんが、要はそういうプライド?ローレンへの僻みから断ったとか)、そのためザバッティーニは急遽本を変えて年齢設定を若くして、娘を11歳の女の子に。これにより、このストーリーの悲劇度合いがより一層高まりました。もう本当卑劣、残酷、悲しい。

結局ローレンは本作品でオスカーやカンヌなど数々の賞を総なめにしました。(マニャーニとローレンの親子も見てみたかったですが、ちょっとどちらもアクが強すぎるので、そもそもの配役ミスだったのでは?と私は思っています)

そしてなんとジャン・ポール・ベルモンドまで重要な役で出ているのですが、なかなからしくない役で彼は出ています。(加えてイタリア語しゃべっているのがなかなか不自然に見えるのは私だけでしょうか)
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