夏の嵐の作品情報・感想・評価

「夏の嵐」に投稿された感想・評価

さとう

さとうの感想・評価

4.5
もろもろ文芸臭ただよう映画だが、照明と役者が凄い。
ファリーグレンジャーはハリウッドだと神経衰弱を起こす情けないイケメン枠だったけど、この将校役はバツグン。ノリにのってるし、口を右手で隠して笑ったり、泣いたりするのがいじらしい。
対する、アリダヴァリも冒頭の華美な顔からどんどん崩れていき(アップがシワを露呈させる)、みるも耐えなくなってくるところに儚さがある。なんと素晴らしいカップリング。
夜のヴェネチアを白く彩り、川の水面から反射した光や、逢引の時の館やアパートに外から差し込んだ光がカーテンに透けてゆらゆらとゆらめく光の感覚がキマってる。
地味に馬車を汚したり(洗う暇なく走った証明)とか汗まみれとか細部に富んでる。特に戦争のシーンは画面が大きく広がったかのように錯覚させるほど、人や馬が入り乱れるなか、煙がもくもくと上がり、豆粒にしかみえないような軍隊が川の向こうを隊列をなして歩いているのが見える。
ヴィスコンティは基本的にパンやズームと安易な手法を用いるが、本作はとてつもない効果をあげている
yadakor

yadakorの感想・評価

4.0
50年代のヴェネツィアがカラーで、しかもヴィスコンティによって映されているというだけでこの映画がどれだけイカれているかの説明になる
チネチッタもいいかもしれないけど、やはりイタリアの街並み、これに勝る撮影場所を思いつかない、、
VHSだと人と建物と風景が馴染みあって絵画のようで美しい
ひでみ

ひでみの感想・評価

4.0
ルキノヴィスコンティ監督。流刑された従兄弟がベネチアに戻って来たあたりからが面白かった。
電気羊

電気羊の感想・評価

3.4
1800年代のオーストリアの支配下にあるイタリアが舞台。敵国であるオーストリアの若い士官と禁断の不倫の恋に堕ちるイタリア貴族の熟女人妻の恋愛ロマンス。丁度、トルストイの「戦争と平和」を読書中だったので、日本人には縁のない欧州の貴族の日常生活に決闘、文化などの生活様式や戦争シーンがすんなり入ってきた。とともに、この映画の主眼であるところの平和でなければ人生の意義が見つけられないというのも理解できた。当時を再現したヴィスコンティのこだわりの映像美もさながら、現代と違い楽しみの少ないこの時代において、恋愛も不倫もセックスもイコールで貴重なものなんだよね。まあ、結局、熟女は不倫相手の若いツバメに金だけせびられ、ツバメはその金を若い女に貢ぐことに。…オヤジが若い女の子に恋して貢ぐのは今も同じか。
簡素なアパルトメントで青年将校が伯爵夫人の白いヴェールを恭しくめくってキスするシーンと、豪奢な邸宅でフランツがリヴィアの黒いヴェールを無理やりに乱すシークエンスとが美しいコントラストを描く。
途中までは豪華絢爛なメロドラマ(クソ面白い)だと思っていたら、まさか終盤で人間の美しすぎる破滅を目の当たりにするとは…。徐々に腐っていく人間の様子を丁寧にネチネチと描くヴィスコンティはなんで意地悪なんだ!!(褒めてる)
hiroki

hirokiの感想・評価

3.5
リヴィアがパルティザンの軍資金をフランツに渡してしまうとこ。何重もの扉を開け奥へと遠ざかる。オペラの演出だなあ。一方クライマックスの戦場でのカメラの動きは映画ならでは。しかし舞台を負け戦であるクストーザにしたことでイタリア当局から検閲を受けるなどさすが赤い公爵
Zhivago

Zhivagoの感想・評価

4.1
巷間いわれるように正に、オペラ的要素とリアリズムの融合。映像・セリフ・音楽の新しい体験。「映画」という枠に収まらない別次元のマスターピース。
ヴィスコンティの多面性が見事に発揮されていて、「壮大なメロドラマ」だと捉えると少々な陳腐さも感じますが、「リアルなオペラ」だと捉えると楽しめます。

オペラを観ているような気分になります。けど、オペラよりはずっとリアル。
一見相容れそうにない2つの要素が組み合わさっているので、凄いんですが、オペラなのか、ドラマなのか、ちょっと混乱してしまう部分もありました。
ブルックナーがかかると一気にオペラモードに転じます。そのあたりの切り換えの技みたいなところをみると、イタリアンオペラカルチャーの伝統を感じます。

公開当時を想像すれば、そうした画期的要素、カラーであること、等から、聴衆や批評家には相当な衝撃だったかもしれません。
notitle

notitleの感想・評価

3.6
ヴェネチアの伯爵夫人と、占領軍の男の破滅的な物語。叙情的で、豪華絢爛に描かれてはいるが、不倫で周り見えず、全てを捨て一心不乱に尽くす女と、金持ちの貴婦人を都合よく利用しサヨナラする男。いつの時代も同じような事が繰り返されてるんだな、と。
Hawkwind

Hawkwindの感想・評価

3.0
19世紀末の戦時中のイタリアを舞台にした大メロドラマ。
話はかなり下衆なものだが、ヴィスコンティ監督による格調高い演出と大袈裟なオーケストラの音楽のため、壮大で美しい恋愛話に感じる。
とはいうものの本質的には金持ちの奥さんが若い男にヨロメイた挙げ句に捨てられ、男に復讐するというベタな不倫ものである。時代を現代に変えたら、ピンク映画のネタにも充分なりそうだ。
自分の事しか考えていない身勝手ヒロイン役は『第三の男』のアリダ・ヴァリ。
ヒッチコック監督の『見知らぬ乗客』の気弱なテニス選手役だったファーリー・グレンジャーが、正反対の女たらしのクズ男役で好演。
終盤に一場面だけ登場する、19歳で事故死した娼婦役のマルチェッラ・マリアーニが美しい。
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