湯っ子

ライフ・イズ・ミラクルの湯っ子のレビュー・感想・評価

ライフ・イズ・ミラクル(2004年製作の映画)
4.2
映画がはじまってすぐ、動物たちの鳴き声と脳天気なようでいてどこか哀しげなジプシー音楽で、一気に連れてかれる。あとはこのドッタバッタしてガッチャガチャしてる人々やほとんどの場面に登場する動物たちを目で追うのに精一杯。
鶏、羊、犬、猫、熊…そしてなんといってもロバ。私には、このロバは監督の心なのかなと思えた。ただそこにいて、涙を流す。そして、こうだったらいいのにな、っていう夢をみせてくれる。この愛らしいロバが、あのいかついおじさんの分身なんてね。

戦争のさなかにあるのに、終始おかしみと滑稽さがそこにある。戦争なんて起こらないって信じてたルカは、最初から最後まで、自分の愛する人のために生きていた。ルカの選択は、ひとりの人として可能な限りの愛と誠意を尽くしたと思う。大切な人には全力の愛を。クソみたいなマスコミにはゲップをお見舞い(あっ、これはルカじゃなくてミロシュがやったんだった)。
トンネルを抜けた先にあったのは、その後の作品「オン・ザ・ミルキーロード」でも描かれていた、とてつもなく美しい世界なのかもね。
湯っ子

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