いろどり

サテリコンのいろどりのレビュー・感想・評価

サテリコン(1969年製作の映画)
3.5
胸焼け必至!「道」の監督とは思えないフェリーニの芸術性が暴れまくる怪作。「8 1/2」や「魂のジュリエッタ」では飽き足らず、カラー映像を遊びに遊んで自己満足に浸った作品なのかもしれない。

奇妙な舞台をみているようで、これはズラウスキーの映画だっけ?パゾリーニだっけ、と混乱する。パゾリーニに関しては「カビリアの夜」の脚本に参加しているし、お互いに影響しあっていたんだろうな。

説教くさい初期の作品より映像を楽しむだけ楽しんでいる後期のワケわからない作品のほうが好感を持てる。万人受けを狙わずにフェリーニが撮りたいものをそん度なしに撮っている感じが伝わるから。

だからといって面白いわけではなく、過激な映像も途中から冗長に感じた。「奇跡の丘」を途中で挫折したときの感覚を思い出してしまった。眠気との戦い。

本質を失い資本主義に流される芸術への憂いや憤りを古代ローマ人に語らせるところは、装飾品にも力が入っていてフェリーニのメッセージが効いている。今も昔も人間は欲に忠実で愚かな生き物。

暴君ネロの時代と言われてもよくわからないなー。前半になぜか般若心経が流れるのがポイントで、終盤の狂宴は笑いを誘う。
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