キラリ

トゥルーマン・ショーのキラリのレビュー・感想・評価

トゥルーマン・ショー(1998年製作の映画)
4.1
“おはよう! そして会えない時のために、こんにちはとこんばんは!おやすみ!”

ジム・キャリーが主人公だけに、一見コメディともとれるが、よくよく見るとホラーともとれるし、けれど、この映画はジャンルがどうとか関係なしに、色々考えさせられる一筋縄ではいかない作品だと思う。メディアへの風刺が込められている場面も随所に散りばめていて結構奥深い。

本作は、自分の人生すべてが作り物だった男の物語。トゥルーマンの生活は、生まれてから30年24時間テレビで中継されている。

視聴者視点で考えると、今でいうテレビ番組『はじめてのおつかい』とか『モニタリング』を観ている感覚なのかな。少し前の『あいのり』とか『テラスハウス』も近いかも。視聴者にとっては、あくまで娯楽の一種にすぎなくて、あらかじめ作り物とわかっているのに、勝手に感情移入して、ああだこうだ言って楽しんでいる。あんなに泣いたり笑ったりして面白がっていたのに、番組が終わったら終わったで、また別の新しい刺激を求めにいく。それが、ラストに警備員(?)たちが、トゥルーマン・ショーが終わった後すぐ別の番組を探す場面に如実に表れていた気がする。

そして、本作はテレビ番組だけに、こっそり(ちゃっかり)CMも紛れ込んでいるんだけれど、それがまた薄気味悪いというか胡散臭いというか、意外と面白くてこの映画の良いスパイスになっていると思う。現実世界でも、私たちは、ネットやテレビやyoutubeや電車の中や日常の至る所で広告を目にする機会があるわけで、広告に囲まれて生活しているといっても過言でもない。あたりまえの日常だけど、冷静に考えると不気味だよなぁ。
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