キラリ

護られなかった者たちへのキラリのレビュー・感想・評価

護られなかった者たちへ(2021年製作の映画)
3.6
“健康で文化的な最低限度の生活” 

東日本大震災の傷跡と貧困問題、そして日本社会が抱える生活保護制度の実態と受給をめぐる理不尽さが描かれた本作。

終始、息苦しくなるほど辛くて、やるせない思いに頭や心が支配される映画だった。予算が限られている以上は法律で決められた原理原則に従い、そこから外れれば受給を拒否せざるをえない生活保護という制度。本作は加害者目線で描かれているので、犯人に感情移入してしまうが、被害者目線で考えると、殺された役所の職員たちもあそこまで残忍な殺され方をされなければいけなかったほど酷い人間だとも思えなかったし、彼らは彼らでただ仕事として自らの役割を全うしていただけだと思ってしまう。なので、「結局誰が悪かったのか?」と問われると、国(政府)ということになってしまうんだろうけど、そう簡単に解決できる問題でもないので、なんともやりきれない。この行き場のない感情をどう処理したらよいのかわからなくて鑑賞していてとても辛い作品だった。
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