ヤッコヤッコ

トゥルーマン・ショーのヤッコヤッコのネタバレレビュー・内容・結末

トゥルーマン・ショー(1998年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

 はじめは悪趣味な企画だと思いながら見ていたが、テレビ視聴者が食い入るように見ている姿から徐々にトゥルーマンを見守り応援するスタンスに変わっていった。制作側がトゥルーマンに存在を隠しきれなくなってくる描写が段階的にコミカルに描かれており、トゥルーマンに気付かれてしまうハラハラ感がテレビ視聴者目線で楽しめた。最後にトゥルーマンが「束縛からの開放」を選んだ瞬間、テレビ視聴者が歓声を上げていたところが印象的だった。テレビ視聴者は小さい頃からトゥルーマンを見守っきており、シルヴィアのように開放・脱出を願ってきたわけではないはずなのに、一生懸命自由になろうとしている姿に感動を受けたのだろう。私もテレビ視聴者と同様にトゥルーマンの選択に感動を受けた。父親との再会はアクシデントがきっかけであるが作られたものである一方、トゥルーマンの脱出は作られたものではないリアルな「true」が描かれていた。最後のセリフが毎朝定番になっていた挨拶とカーテンコールのようなスターの振る舞いをしたことは、最後の最後に制作側に移りそこからの脱出が象徴的に見えた。
 ユーチューブで子供の成長を小さい頃から配信しているものもあるが、もし自分が視聴者であった場合、その子供が反抗して画面から消え卒業することを決断した瞬間、残念な気持ちも少しはあるとは思うが清々しい気持ちになると思った。
 「平穏であっても抑圧されているならば、辛くとも自由を選ぶ姿」はいつの時代も憧れるものであり自身に置き換えると決断が容易ではないということだと感じた。