なやら

冬物語のなやらのレビュー・感想・評価

冬物語(1992年製作の映画)
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すごくよかった! 前半は移り気過ぎる主人公にムカムカしながら観てたけど、彼女が大聖堂で啓示(?)を受けた以後の展開はもうサイコー。演劇を見た後の車内論議シーンから俄然引き込まれた。あの哲学男、これまではいい奴じゃんと思いながら見てたけど、主人公女の直感的な感想を要約し、わざわざ堅苦しく変換して返答する感じがめっちゃ冷める。知識は欲しいけどああいう奴だけにはなりたくないな〜って思いながら見てたら主人公がその後「あなたは愛のささやきにも出典が要りそうね」ってツッコんでて笑った。
この辺から、映画が主人公の多情多感を肯定し出すんだよな。そしてバスの奇跡、ボックスシート! ボックスシートってやっぱ間違いなくスペシャルな情感があると思うんどけど。そして四者によるあの視線劇ね!アソコだけ手に汗握るサスペンスですよ最早。分かってない作家なら子どもが声上げるとか物落とすとかで気付かせようとするでしょ。昨日観た「昼顔」よろしく、あくまで自然に目が合うまでじっと耐え続ける演出大好きだなー。
ラストシーンでの「うれし泣きよ」のクサい反復も子どもだから許せる。いやむしろアレをやってくれないとオチない。ベタ最高。バスの再会からは主人公の未来に一切の翳りを感じさせず、取って付けたようなハッピーを貫いたまま終わるのも良いな。四季シリーズベスト!
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