湿疹

シベリヤ物語の湿疹のレビュー・感想・評価

シベリヤ物語(1947年製作の映画)
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普段は去勢されたスターリニズム文化なんてクソ食らえという態度でいるが、こういう観るに耐えるクオリティの社会主義リアリズム映画観ると色々わからなくなる。観るに耐える以上のものではなかったがこういう音楽好きな人は楽しめるかも。いや構図がいいのとかアレクサンドロフみたいな移動撮影とか、見応えあるとこは沢山あるが……。サイレント映画か?というくらいイデオロギー的に肝心なこと言うときカメラ正面から見てくる。普段映画でピアノを弾いてるシーンが出てくると、つい手元を見て本当に弾いてるか(弾いているという体にできてるか)など見てしまうが、こんなフィクショナルで幼児的なプロパガンダ映画でさえしっかり俳優がピアノを弾いているのはロシアだなあという感じがする。改めて私はソ連やロシアに生まれていたら、少なくとも古典を通過しなきゃいけない諸芸術には絶対に従事していなかっただろうなと思う(権威化されすぎてて素直にハマれないと思うから)


長谷川章さんの論文メモ。1901年生まれのプィリエフはプラレトリクト第一労働者劇場にいたりして、アヴァンギャルドと関係があり、映画で現実とかけ離れた現代のルボークをつくろうとしたのは、約束事やジャンルといった概念への志向が強かったからであり、メイエルホリドの影響ではとトゥロフスカヤは言っている。ネオフォルマリズムをトンプソンの『イワン雷帝』論における余剰が今作にも見出される。ちなみに余剰はエイヘンバウムのザーウミ、フォトジェニーの概念、トゥイニャーノフの「差異的記号」(他の記号より優位なドミナント)と似てる。
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