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怪獣大戦争のodyssのレビュー・感想・評価

怪獣大戦争(1965年製作の映画)
3.0
【笑える箇所と懐かしい箇所と】

この前年に上映された「三大怪獣 地球最大の決戦」は子供の頃にロードショウで見たのですが、こちらは見損ねてしまい、だいぶ後になってからやっとDVD鑑賞しました。

何というのか、今から見ると笑える箇所が多いですよね。まず、X星人のたくらみにまんまと地球人が乗せられてしまうところ。日本の国会で主婦代表が意見を言ったりする場面もさることながら、そもそもX星人がゴジラとラドンを制御することができるなら、キングギドラだって制御できるはずなので、土壇場までそのパラドックスに気づかないところがユーモラスです。

ゴジラの「シェー」ポーズについては他の方も書いていますが、この頃になるとゴジラは初期の怖い怪物といったイメージを脱して、アイドル(笑)的な存在に変わってきているのではないか、と思えます。

そこをあえて時代に引きつけて説明するなら、放射能の恐怖が日本人に身近なものであった昭和30年代が終わり、しかも昭和39年に東京オリンピックが開催され、日本の高度経済成長がいよいよ本格化していく頃ですから、日本人の心にも余裕ができて、怪獣をアイドル化することが可能になったのかもしれません。そもそも、前作「三大怪獣 地球最大の決戦」でゴジラもラドンも善玉になっちゃったことですし。

模型を使った建物(ゴジラなどに破壊される)だとか戦車類も、何でもCGでやってしまう昨今からすれば或る意味チャチかもしれないけれど、いちおうモノを作ってそれをゴジラが壊すのだという基本をちゃんと押さえている点で、懐かしいだけでなく、昔はよかったなあという気持ちにもなってしまいます。

水野久美さんが妖艶な美しさを見せているのもこの映画の魅力でしょう。最近はこういう美貌の女優、日本にいなくなりましたね。
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