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クジラの跳躍 Glassy Oceanのmitakosamaのレビュー・感想・評価

クジラの跳躍 Glassy Ocean(1998年製作の映画)
4.3
初見は確か、今は無き銀座テアトルシネマ。アマプラにあったので再視聴したのだが、いやぁ〜20年前の感動のそのままで嬉しかったわぁ。

20年前のアニメと言えば、アナログからデジタルへの移行期。
試行錯誤があり、2Dと3Dのマッチングに四苦八苦していた時代なんだよね。

そんな中、唐突にポンと公開された今作が、絶妙なセンスの3DCGの使い方だったんだわ。
しかも商業アニメでない、絵本作家による極めて自主制作的なアートアニメから産まれたから、オドロキじゃないですか!

海の上を歩いて渡る人たち。彼らに取って海とはガラスの様なもの。
時の流れが違う世界で、魚も手で捕まえられる。
クジラが跳躍するのも、彼らの時間で1日かかる。
空中に漂うクジラをスケッチする者もいる。

でも、船から見る少年にとってクジラの跳躍はホンの一瞬でしかない。

この、何とも言えない感傷的な物語。
時間が遅く流れる者達にとっては、止まっている波はグリーンのガラスであり、海はくすんで無く極めてクリアだ。(コレは通常の時間を生きている船上の子供の世界がモノクロなことと比較しても明らかだ。)

この物語の中で、主人公のオッサンが昔に乗っていた船の名前を思い出すシーンがある。コレに関しても特に過剰に説明はしていない。
オッサンが、船で死んだのか否かも、見る側の解釈に委ねられている。

しかし、ガラスの海の綺麗なことよ。透かしや映り込みなどをCGが担い、でも2Dのキャラクターとマッチしている。

今もって魅力が薄れない隠れた傑作。オススメ。
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