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彼岸花のtaroumanのレビュー・感想・評価

彼岸花(1958年製作の映画)
3.5
新装開店 フィルムセンター改め国立映画アーカイブ

小津映画なのでもちろん趣味だし、おじさま達のセリフ棒読みも心地よくて、ぜんぜん飽きずに楽しめたけど、なんというかうまく言えないが、小津の初カラーということで、小津自身も恐る恐る撮ったかどうかはもちろん知らないが、小津映画とはこういう風に撮るのですよ、と小津が小津自身に教えているかのように思えたのは考え過ぎか。

まあ、もともと同じような話しが同じようなメンバーで円環するのが小津映画であって、手を変え品を変え配役を替え舞台を替えても、鉄板の筋運びは健在で、この映画も、自分の知らないところで娘が結婚を決めて拗ねる父、という話しを2時間かけて見せるというのが小津の小津たるところ。

出番は少ないが久我美子がピカイチ。ずーっと見ていたい。佐分利信をも圧倒する存在感。笠智衆の娘にはとても見えないが。
あと、桜むつ子と浪花千栄子。いいアクセントで頬が緩む。
佐分利信のうろうろシーンは、本当に取ってつけたようで微笑ましい。
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