とらねこ

彼岸花のとらねこのレビュー・感想・評価

彼岸花(1958年製作の映画)
3.8
小津の作品世界って、どれを見ても何処かで繋がっているような、不思議な安心感があるね。

他人の娘にはとても優しく理解があるのに、自分の娘には頑固親父、な佐分利信。
しっかりと自分の意見を持った女性たちが、影で連携して活躍。

でも、何と言っても心に響くのは、お母さん役の田中絹代。
「戦時中は苦しかったけれど家族の連携を感じられた、それが時々懐かしい」と。この台詞、一度目に見た時は不思議としか思わなかったけれど、二度目に見たら思わず泣いてしまった。
頑固親父を上手に操縦して、それなのに謙虚で優しさを感じる出来た女性。
こんな風になりたいなあ。

『秋刀魚の味』は娘を嫁にやる父、笠智衆萌えな映画だったけれど、こちら『彼岸花』は同じく愛らしいお母さん、田中絹代が素晴らしい。
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