キッチャン

彼岸花のキッチャンのレビュー・感想・評価

彼岸花(1958年製作の映画)
4.0
 小津初のカラー作品。
赤(朱色)の発色が好みのドイツのアグファーカラーを選択した。

 ぽってりしたスエーデン製の赤いヤカンは、1893年に誕生した老舗琺瑯メーカー品。
 厳密に設計された画面の中で、真っ赤なヤカンが、見る人の目を強く惹きつけます。
 撮影後、監督が自ら持ち帰り愛用したみたいです。

 東京駅丸の内口、創建時のドームを復元した現在の東京駅ではなく、空襲で被災した駅舎から映画は始まる。

 東京駅と東海道線ホームの間にクレーンがあり、戦後の高度成長期へ向かう日本側読み取れる。 
 戦後、シンガポールから帰国した小津は千葉県野田の家に彼岸花を植えている。
 その子孫たちは今、晩年の小津が仕事の場とした長野県茅野の山荘無藝荘で秋を告げている。

 北海道地図が出てくる。