フリーザ

ブラッド・シンプルのフリーザのレビュー・感想・評価

ブラッド・シンプル(1984年製作の映画)
3.8
【コーエン兄弟連続鑑賞記録その1】

コーエン兄弟の監督作(オムニバスに参加してるやつや脚本だけ書いてるのは除く)を全作観たので、デビュー作から『バスターのバラード』までのレビューをアップしていきます。


コーエン兄弟のデビュー作。
低予算をセンスでカバーした良作。
「デビュー作らしからぬ完成度」と「デビュー作らしい荒削りさ」のどちらも兼ね備えた魅力ある作品。


オープニングでの車のヘッドライトやラストの壁に空いた銃痕から光が漏れるシーンなど、暗がりの中での光の使い方が上手く、監督の美学を感じます。
壁(またはドア)越しに銃を撃つ、というのは後の作品でも何度も出てきますね。


シーリングファン(天井にぶら下がってる扇風機みたいなやつ)・魚・水滴などの視覚的なアクセント、やたら生々しいバイオレンスシーン、本人達は真面目に行動してるんだけどそれらがことごとくズレてるのが可笑しくも見える話の進み方、BGMのセンスなんかの監督らしさはこの頃から見られます。


特に主人公と言えるようなキャラクターがいなく、マーティ、アビー、レイ、探偵の4人の視点がころころ入れ替わる感じ。
どいつもこいつも悪人。


コーエン兄弟の作品の入りとしたら『ファーゴ』『ノーカントリー』辺りからという人が多いと思いますが、出来れば初めの方に今作を観ることをオススメします。
コメディorシリアスで言えば限りなくシリアス寄りなので他のコーエン兄弟作品のコミカルさが分かりやすくなるし、上記の様なコーエン兄弟作品頻出の要素が垣間見えるからです。
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