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逢びきのSIのレビュー・感想・評価

逢びき(1945年製作の映画)
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2021.6.15
自宅TVにて観賞

上流階級マダムの主人公は駅で出会った医師とW不倫に落ちる。
周囲への罪悪感や露見する恐怖に苦しみ、最後二人は別れを決める。

不倫モノ王道の展開。
永遠の別れを終えた主人公による回想形式で語られる。意外性はなし。
あとにつくられた「終着駅」の方が劇的だった。

デヴィッドリーン。痺れるカットが多い。
ファーストカットのオープニングクレジット。駅。行き交う列車2つ。もうもうと吹き上がる煙幕が見事。格調高さを感じさせる。
友人宅での密会。友人が帰ってきて、豪雨の中全力で逃げるヒロインを右後ろから追いかける。素晴らしく印象的なカット。
クライマックス。自殺を考えた主人公を正面から、カメラを傾けながら撮る。藤井道人的。後ろには列車の通る不気味な重低音。ゴッドファーザー的。多くの監督に影響を与えたカットなのだと思う。
男が主人公に仕事の夢を語るシーン。予防医学。段々と口数が少なくなり、二人は見つめ合い、そして恋に落ちたのだと観客にはっきりと分からせる演出。秀逸。

何分観ても可愛くないヒロイン。

BGMはラフマニノフのピアノ協奏曲第2番。

戦時中に撮ったとは思えない作品でした。
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