逢びきの作品情報・感想・評価

「逢びき」に投稿された感想・評価

桃

桃の感想・評価

3.7

このレビューはネタバレを含みます

早い話は不倫の話なんですが、
束の間の純愛が綺麗で。
つい憧れてしまう。

毎週木曜に買い物で町に訪れるローラ。
2人の子どもと、博識で寛大な夫に恵まれ、買い物や映画鑑賞等、自由な時間を許され、謳歌していた。

ある日、駅のカフェで目にゴミが入るというハプニングから、開業医のアレックと出会う。
偶然の再会から、2人の距離はたちまち縮まっていく。

許されない恋ほど燃え上がるのはロミオとジュリエットの恋からずっと続く話。
明かせぬ想いの方が打ち明けた時の喜び、奇跡も一層増す。

許されぬ激情を描くように流れる、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番が印象的。

とはいえ、ラストの旦那の
"遠くへ行っていたね
戻ってくれてありがとう"が素敵過ぎる。
こんな旦那と結婚したい。
映画自体は何の変哲もない不倫物なんだけど
構成が見事すぎて
とんでもなく凄い物を観ている感覚に陥ってた
ラストのそう来たか!も見事
あんなタイミングで来りゃ死ねって思うわな
ひでG

ひでGの感想・評価

4.2
映画の教科書!

子どもの頃に、確か、日曜洋画劇場?で
観た記憶がある、

と言うか、ラスト、深い愛情を示す夫の
言葉は、ずっと覚えていた。

妻が別の男性に恋をして、
戻ってきた時に
こんな言葉を発せられるとは、、

と、感動したことを今でもはっきり覚えている、

子どもの頃、こんな大人の映画を観ていたとは、我ながら、、すごいガキ?😃


さて、半世紀?近く経って再見した本作、

こんなに見事な作品とは思わなかった!

中年カップルの数週間の恋のお話、

しかも、65年も前の90分弱の一見ありきたりな作品。

でも、この中には、

「映画とは何か。」

「どんな表現方法がより映画的であるのか!」という原点が詰まっている!


まずは、ファーストシーンとラスト(厳密にはラストではないけど)が同一場面。

これは、今でこそ、当たり前に作られている手法だけれど、

同じシーンでも、観客が、

物語を、登場人物を深く知った終盤では
全く違った場面になるという手法。

ある人物の登場が、
今、まさに別れの時を向かえる二人にとって、何と邪魔な存在になっているかを、
観客も二人と一緒に感じることができるのだ。


恋愛映画の大切な要素の一つである、
「愛する二人とその周りの人々の関係性」

この映画は、駅の待合い喫茶店の人々のおしゃべりをそのまま映し出している。

愛する二人の目には、耳には、全く意味のない、入ってこないもの。

二人が愛すれば愛するほど、外の世界は、後退していく。外の世界を見せることで
二人の接近度を表しているのだ。

駅での光と影の演出。
出会いのきっかけだった、汽車の煙、
列車の発車音や進んでいく汽車のアップ

全ての描写が二人の微妙な心の揺れや決断を表したいる。

二人が初めて本格的に自分のことを話す時、
真剣に自分のことを話す医師とそれをじっと聴く奥さん

その瞬間に、一気にお互いへの愛が高まる場面も見事だ!

「恋が生まれた瞬間」を捉えたシーンとしては、
「ララランド」と並び、映画史上に残る名シーンだと思う。


映画をあらすじだけで観ている人には分からない、深い味わいのある名作です!
 デヴィッド・リーンは「スペクタクルの巨匠」というイメージが強い。『アラビアのロレンス』や『ドクトル・ジバゴ』を観てそう思う人は多いはずだ。
 しかし、初期は本作や『旅情』といった文芸色の強い映画を撮っていた。『アラビアのロレンス』にしても、主人公の心理描写を丁寧に描いていた。

 舞台は終戦直後のイギリス。主人公は人妻のローラ・ジェッソンと開業医のアレック・ハーヴィ。二人は互いに妻子がある身でありながら惹かれ合う。毎週木曜日の午後に会い、ランチを食べ、映画を観て、郊外にドライブに出掛け、キスをするがそれ以上は進展せず、小さな駅で別れる。

 物語はローラの回想という形式を取る。つまり、ローラの視点から観客を導く。ローラは毎週木曜日にアレックとの密会を重ね、喜びのあまり列車の中でアレックとの優雅な生活を夢見る。しかし、ローラは同時に苦悩を抱える。アレックとの関係は善良な夫に嘘をつき、家庭を崩壊させる危険があるからだ。

 リーンは登場人物の性格描写を丁寧に行う。ローラとアレックはキスはするがそれ以上は踏み込まない灰色の関係。その関係性をラフマニノフのピアノ協奏曲第2番と陰影豊かな撮影で表現する。ローラが急行に轢かれようとする際にカメラが斜めに偏る場面は彼女の危うさを表している。

 
そういえば大作撮る前って、デヴィッド・リーンって恋愛映画も撮ってたんだよなぁ、程度の、映画史の勉強程度で鑑賞。
しかし恋愛映画の最高峰だったね。
スクリーンの彼女は、生活に疲れているけど、回想ナレーションの声がいきいきとしているのが肝だね。
うーら

うーらの感想・評価

4.7
公開:1945年 イギリス
監督:デヴィッド・リーン
脚本:ノエル・カワード / アンソニー・ハヴロック=アラン / デヴィッド・リーン / ロナルド・ニーム
音楽:セルゲイ・ラフマニノフ
出演:セリア・ジョンソン / トレヴァー・ハワード 他
原題:Brief Encounter
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<あらすじ>
平凡な勤め人の妻ローラは、毎週木曜日、近くのミルフォードという町に朝から汽車で出かけ、一週間分の買物をした後で、映画を観たりして夕方の汽車で帰宅する習慣があった。
彼女はある日、駅の喫茶室でアレックという開業医と知り合う。
再び会ったふたりは共に映画を観に行き、また次の木曜日に会う約束をする。やがて毎週、会うようになった彼らは、相手への気持ちが高まり、ついに愛を告白。プラトニックな逢瀬は続いたが…。
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え、なになに?もうすっごくよかった。

昔の名画と呼ばれる作品って、あまりに現代とかけ離れていて理解不能なものがあったりするのと、“恋愛映画の傑作” “メロドラマ”などの評が、安っぽく感じてしまっていた。

でも見てみて一変。
安っぽいどころか、着こなしや所作はもちろん、
心のあり方まで全てにおいて品があり上質だった。

不倫を扱った作品は今に至るまで山のようにあるけれど
周囲のことなんて関係ない、二人さえよければいい、という
自分勝手なドロドロした作品とはまるで別物。

自分の感情にブレーキをかけて
なんとか押し殺そうするも溢れてしまう、
楽しさよりも苦しさが上回ってしまう、
そんなどうしようもない愛情と悲しみの表現が繊細でダイレクトに伝わってくる。

冒頭で、男性が女性の肩に手を置くシーンが
静かなのに感情に溢れていて、なんて印象的なんだろうと思って見ていたら
ラストでもう一度、二人の物語の先にこのシーンにたどり着く。

ラフマニノフのピアノコンチェルトが
二人の募る想いをさらに後押ししていて切ないんだよな。

切ないといえばラストの旦那さん、気づいていたの?と思わせるあのシーン、
ハッキリした答えがないところがまた余韻が残る。

あーーーなんかものすごく質の高い作品を見たな〜という満足感。
しばらくぼーっとしちゃいそう。
サーこ

サーこの感想・評価

4.5
大好きな映画

恵まれた環境と優しい旦那様 それでも恋する気持ちは止めることは出来ない ましてや時代は1940年代 現代のゲス不倫で罪悪感さえ薄い今とは違うのだ 彼が言う「許して 全てを・・・君に出逢ってしまったこと 愛してしまったことを」この言葉は何気ないようだが 人生を重ねて改めて観、聴くとと なんと深い愛情か わかり 涙が出る
そして優しいご主人が 何も深く問いただすことなく「遠い所に旅立っていたね よく帰ってきたね おかえり」の言葉も 優しさに溢れている 全ては愛で満たされた映画だと改めて感じた
anya

anyaの感想・評価

4.0
ストーリーの構成がいい、既婚者同士の切ない恋愛。夫さんいいひと。
しゅう

しゅうの感想・評価

4.8
デヴィッド・リーンは後に大スペクタクル映画ばかり作るようになるが、彼の本来の持ち味はこういう小粒な小市民を描くところにあると思う。

原作の舞台劇より優れていると思われるのはお喋りな知人の扱いで、最初の登場では観ている者がまだ状況を理解出来ておらず、少しずつシリア・ジョンソンの心情がわかってくるのだが、最後の逢びきの時に最悪のタイミングでその知人が声を掛けてくるファーストシーンの繰り返しは作劇的に抜群の上手さで観ている我々もシリア・ジョンソンと同じダメージを受けてしまう。
(しかも去っていくトレヴァー・ハワードの姿を塞ぐように入ってくるショットにトドメを刺される)

主役2人の心理描写、徹底的に被せる内心の声の効果、ラフマニノフの曲などが相俟って非常に優れた傑作となっている。
No.189[許してほしい、君に出会ったことを] 80点

いきなり優しそうな女性が目の前にいる噂好きなクソうるさいおばちゃんに対して"死んでくれたら..."と心の中で呟く、そのあまりの直截な物言いに引き込まれてしまう。私もうるさい人は苦手だが、終盤の繰り返しによって確かに朗らかな殺意を覚えるようになるのは、単に嫌いだからだけでは片付けられないほどローラの内面に近付けたからなのかもしれない。正直に言えばセリア・ジョンソンもトレヴァー・ハワードも全く華がないのだが、ひどく凡庸な生活を描くにあたってここまで適した人材もいない気がする。無論、魅力がないわけではなく、特にセリア・ジョンソンの貞淑さと無邪気さを持ち合わせた雰囲気といい笑顔といい、トレヴァー・ハワードがころっと惚れてしまうのも分かる気がする。シンプル・イズ・ベストを極めた原点にして頂点といったところか。

後に『邪魔者は殺せ』『第三の男』を撮ったロバート・クラスカーが撮影ということもあって、画の陰影が素晴らしい。特に高架下のシーンは隣に死体でも転がってそうな暗さ。飛び込みかけて思いとどまる有名なシーンで顔にかかる光も良い。てか、目に何か入って出会う男女多すぎね。
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