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逢びきの白のレビュー・感想・評価

逢びき(1945年製作の映画)
5.0
フランクフルト学派が理性万能信仰をファシズム全盛の原因としたように、自発的であれ他発的であれ、不倫の断罪は宗教的な理性信仰から本来やってくる。英国の憂鬱な天気の下で、セリアジョンソンは理性を保とうとして苦悩し、キリスト教のもとで共有する倫理が美しい予感に満ちた愛を邪魔する。そして今日的な炎上が依然として代表するように他人の口はとても醜く、カメラは当然そこにクローズアップする。
走り出す列車、闇に消え入る尾灯、滲み出る哀しみの表情を自認させる鏡。ラフマニノフのピアノ協奏曲が齎す動揺と高揚が、愛の哀しみに震える心を一層生々しくする。

ノエルカワード「今夜11時半にー静物画」
このウェルメイドプレイの実写化について。
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