このレビューはネタバレを含みます
高倉健はどこかクリント・イーストウッドみがある。素性がわからず、寡黙で、強くて、カッコよくて、馬にまたがるその姿はまるで西部劇のクリント・イーストウッド。舞台が西部ではなく北海道なだけで。
しかし、これが本当に西部劇ならエンディングは男が惜しまれながらも馬に乗って去っていくシーンで終わる。
女が去る男の背に言う
「いつか帰ってきて…」
男は言う
「サムデイ。。。」
それも良いが、『遥かなる山の呼び声』は全く違う、それでいて素晴らしいエンディングだった。クリント・イーストウッドは泣かないが高倉健は泣く。この男の涙が効くのだ。
手錠を繋がれ、刑事(?)に付き添われて刑務所まで運ばれる高倉健の元に、奥さんとあのバカな男が現れる。二人が白々しい演技を始める。奥さんが街で息子二人と暮らし、いつか帰ってくる“夫”を待っているという。
直接話しかけるわけにはいかない。だからと言って分かりきった芝居だ。しかし刑事たちは何も言わない。何も知らないふりをして、ただ弁当を食べる。
男のかっこよさで言ったら西部式の別れの方がいいかもしれない。
でも、個人的には山田洋次式の方が好きだ。