Omizu

遥かなる山の呼び声のOmizuのレビュー・感想・評価

遥かなる山の呼び声(1980年製作の映画)
4.7
今年最初のレビューはこの作品から。山田洋次ってやっぱりすごい。本当に端正で素晴らしい映画。

脇役に至るまで完璧なセリフ回し。それに伏線がすごくさりげなくて上手い。

ラスト30分くらいまでは大きな事件もなく、母と息子、どこからか来た「おじさん」の生活が描かれるだけなのに見るものを退屈させない吸引力がある。北海道の力もあるけど、やはり監督の演出が巧みなんだと思う。

例えば武田鉄矢演じる民子の新婚の弟、帰り際に笑顔で手を降る妻の顔だけをまず映し、ふと妻がみると彼は泣いている。「さみしい人なんだよ」と言い、さりげなく後部座席の方にカメラがズレる。うまい!すごくいい塩梅!舌を巻きました本当に。

そして誰もが言う圧巻のラストシーン!「男には辛くても泣いちゃいけないときがある」というセリフがここで効いてくる。うまいなーほんとに。

山田洋次なめちゃいけないよねほんとに。こんなにいいとは思わなかった。
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