キャサリン子

重力ピエロのキャサリン子のレビュー・感想・評価

重力ピエロ(2009年製作の映画)
3.8
過去のとある事件と現在起こっている連続放火事件を軸に、家族愛をテーマに描いた作品。


原作も読みました。けど、映画のほうが全然良かったです。
映画館で観たのは10年以上前ですが、ハルが二階から飛び降りるシーンと、ラストのピエロのシーンは、特に鮮明な印象として残っています。
あと、これを観てから渡部篤郎が苦手になった(笑)


優しい父と美しい母、そして、優秀な兄と、そんな兄が大好きな無邪気な弟。
それぞれがそれぞれを思いやり、信じ合っているこの家族が美しくて、だからこそ四人が抱えている過去と負っている傷に胸が苦しくなりました。
家族団らんの回想シーンでは、何度も泣きそうになり、後半の、「お前は俺に似て嘘をつくのが下手だな」という父の台詞でついに涙腺崩壊。
「なにも悪いことなんてしていないよ」と言う兄弟の嘘は全てお見通しなのに、それ以上は追求しない父。
真実を明らかにすることだけが全てじゃないと思いました。


「本当に深刻なことは、陽気に伝えるべき」
そうか。私もそうしよう。
伝える相手のためにも、自分のためにも。


伊坂幸太郎は文章が堅くてなんとなく苦手な作家ですが、それは映画の台詞でも健在でした。
あんなまどろっこしい言い方する若者、いるかぁ(笑)??
けれど、そんなことも気にならなくなるほどストーリーは秀逸でした。


どんなときでも自分を信じ、助けてくれる。例えそれが自己犠牲を伴っても。
それが、家族なんだ。


愛ってすごいな。
キャサリン子

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