このレビューはネタバレを含みます
スコセッシ&デニーロコンビの5作目。どうしても2作目のタクシードライバーや、4作目のレイジングブル、6作目のグッドフェローズあたりの方が知名度は高いと思うが、負けじ劣らずに良い作品だと思う。
特に初対面で大御所タレントに対して、「俺のネタをあげてもいいぜ」と話すルパートの勘違いぶりには寒気がするほどで、具体名を出すのもあれだが何十年後に起きた京アニ放火事件の犯人に近いなと今なら思えてしまう。
惜しむらくはジェリーがもっと人間的に優れたタレントであれば、ルパートを一人の人間として真正面から向き合った上でお前には才能がない、こういうことをすると迷惑をかけると叱って欲しかった。
タクシードライバー同様ラストシーンは果たして現実か妄想なのかの二重性で終えられており、そこに至るまでもスコセッシならでは硬質でジャーナリスティックな乾いた描き方のうちに情感がこもった良い映画。