このレビューはネタバレを含みます
多かれ少なかれ、誰しもが主人公パプキンの部分を持っているのではないか。
パプキンは国民的スター司会者ジェリーと強引に近づき、一方的に自分のことだけ話し、その場しのぎのジェリーの対応を自分の都合の良いように解釈した上、狂気を孕んだとんでもない行動を次から次へとやってのける。周りはドン引き。
公衆電話で話しているおばちゃん。たまたま目の前にジェリーが通りかかったのを一方的に引き止め、サインくれ!電話の相手と喋ってくれ!断られると態度を急変させ、「あんたなんか癌になっちまえ!」と悪態をつく様子。パプキンと同類やん。
TV収録会場に「出演するように言われた」といきなり現れる作家。実際は出演オファーなんてなく、恐らくプロデューサーとどこかで軽く言葉を交わしただけだろうに、この人もパプキンと同じく、自分の作品を認められたくて、ものすごく拡大解釈してしまったのではないか。
誰も悪気がないというのが恐ろしい。さすが、スコセッシ x デニーロの最高傑作と言われるだけある。鑑賞後の余韻がハンパない。