ろく

極道(やくざ)渡世の素敵な面々のろくのレビュー・感想・評価

3.5
このころの陣内孝則の格好よさと麻生祐未のかわいさね。

今は二人ともすっかり初老になってしまったけどこのころってホント素敵だったんだよなぁと久々見て思った。

陣内はヤクザ映画がはまっていて此れ以外だと「疵」や「ちょうちん」も好き。この映画でも飄々としながらヤクザをやっているの。バックで陣内のバンド、ロッカーズの曲が流れるのも注目よ。

そして麻生のかわいさ。もはや麻生といえば久美子だが、なかなかどうして佑未のかわいさも半端ない。とくに陣内がホテル街に誘った時「エッチ―」って大声で言う麻生の文句なしのかわいさね。それだけでもこの映画は見る価値あるの。

昭和ムービーとしてよくないとこはいっぱいあるんだよ。すぐ暴力だけで解決してしまうとことか、女は殴られて抱かれてなんぼとかね。それはほんと今の感覚で見ると鼻白むんだ。でもね、そういうのも込でこのころの映画を見る事って大事だと思ってます。だってなんでも今の感覚だけを推し進めたら歴史ものなんか見れるわけないんだよ。各時代でどのようなことが「正しい」とされていたかってのを理解しないで「まじない」「パワハラでモラハラ」って言って過去の作品をこき下ろしても仕方ないんだと思うんだけどなぁ。それじゃ落語やオペラ、歌舞伎は全て見るに値しないものになってしまうと思うんだけど。

このころはこれが恰好よかったんだよ。そしてそれがいつの間にか恰好悪くなってしまったんだよなぁと思うとしみじみ。陣内の兄貴分である日下がやたら彼に暴力をふるうのに、その日下が病気になると陣内はたくさんの見舞い金を持ってきて「流石、兄貴だ!いろんな人が見まいに来てくれたんすよ」って言って日下に見せる。もうこのシーンだけでもいいなぁ。当時はそんなつながりが当たりまえだったんだよね(今は否定していいと思う)。

最後はヤクザとして生きる陣内が矜持を見せながらも麻生にウインクをして去る。その後陣内はどうなっただろうか。刹那的に生きることが矜持だった時代だと思っている。
ろく

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