Tully

イップ・マン 序章のTullyのネタバレレビュー・内容・結末

イップ・マン 序章(2008年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

ブルース・リーの師匠であり、詠春拳の達人である実在の人物イップマンにスポットを当てた香港発のカンフー映画です。イップマンの生涯を描いてますがかなり脚色されています。物語の舞台は支那事変勃発直前の中国・佛山。イップマンは一貫して人格者として描かれており、作中最強のの強さを誇りながら、その拳を振るうのは仲間を守る時か試合を挑まれた時だけ。このスタンスは次回作以降にも受け継がれています。イップマンは仲間を守るため、数々の敵を相手に戦っていきます。作中では支那事変(日中戦争)を扱っており、抗日ドラマの側面を持っています。ラスボスである第五師団の三浦閣下は高潔な武人として描かれたり、中国人の悪役もしっかり配するなど若干の配慮はされていますが、見る人を選ぶのではないかと思います。まあ実際のイップマンは共産党に資産を没収されていますので、そのまま描いたら中共の怒りに触れてお蔵入りになる訳ですが。一方で格闘シーンはサモ・ハン・キンポー指導だけあって見応え抜群。最後のバトルシーンはドニー・イェンと池内博之の熱演が光ります。妥協を許さず、少しでも当たってないように見えたらリテイクという厳しい条件で撮影し、短いながら2週間も掛かりました。カンフーアクションとして見るなら最高の満足が得られるでしょう。クオリティの高さから本作はイップマンブームの火付け役となりました。三浦を演じた池内氏や、佐藤大佐を演じた渋谷天馬氏はこの作品をきっかけにオファーが急増しており、どれだけ影響力の大きい作品だったかが窺えます。
Tully

Tully