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雨の朝巴里に死すのodyssのレビュー・感想・評価

雨の朝巴里に死す(1954年製作の映画)
3.0
【古典映画の枠を越えず】

1954年製作で、舞台は第二次大戦直後のパリ。戦争でヨーロッパに来てそのまま異国に暮らすことになるアメリカ人のお話です。

いうならば「パリのアメリカ人」というわけ。ただ、そういうテーマが、登場人物たちの口からは出てくるものの、主人公たちの寄る辺ない生き方に明確に現れているかというと、微妙。若い男女のアメリカ人が異国で出会って愛し合うようになるものの、その後うまくいかなくなって、という筋書きと、「パリのアメリカ人」的なテーマが必ずしもうまく噛み合っていない印象があるのです。

最後のまとめ方も、作品の最初のあたりにちょっと伏線はありますが、途中すっとばされているので、唐突な感じを免れません。悪くするとご都合主義に見えてしまいます。

主人公と離婚を重ねる年増女との、ヒロインとテニスプレイヤーとの関係も、今の目で見るとかなり穏健であり、現代人からすると行き着くところまで行くようにしないと物足りないですね。

結局、古典映画の枠を越えることがない作品だというのが私の結論です。
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