じう

アンダーグラウンドのじうのレビュー・感想・評価

アンダーグラウンド(1995年製作の映画)
5.0
「人は圧倒されるような失意と苦悩のどん底に突き落とされたときには、絶望するか、さもなければ、哲学かユーモアに訴える」

これはチャップリンの言葉だが、『アンダーグラウンド』という作品全体を覆っている、悪趣味と紙一重のユーモアと、その底流にある絶望をよく表している言葉だと思う。
現実と虚構、そして虚構のような現実をシームレスに横断する展開は、ある種マジックリアリズムのようでもあるが、これらは少なくとも登場人物たちの意識の上では紛れもない現実であり、それが絶望でもあり、希望でもある。
ラストで描かれる、もはやどこにも存在しない、あり得たかもしれないユーゴスラビアの「イフ」の世界のシーンは、ひどく切ない。
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