Shelby

アンダーグラウンドのShelbyのレビュー・感想・評価

アンダーグラウンド(1995年製作の映画)
3.6
見終わったあとでも、こんな映画が存在するとはという驚きが尾を引いた。衝撃的。

かつては存在していたユーゴスラビアという名の国への鎮魂歌のようにも感じられた。親友、恋人、信頼、全てが崩壊に向かっていくお話。現実に置き換えるととてつもなく重たい筈なのに、終始マルコとクロの周りの音楽隊達が奏でるバルカンミュージックが物語の残酷さを消し去っている。
だからこそ、末恐ろしい。
息子の結婚式で狂ったように踊り続けるナタリアの踊りは今でも鮮明に目に焼き付いている。それほど印象的であった。

終盤で死んだはずの登場人物達が集まってどんちゃん騒ぎをしている島が独立し、海へと流れていってしまうシーン。島の形がユーゴスラビアの国の形をしているという事実を後から知り、何とも言えぬ気持ちになった。日々繰り返しているであろう消滅と誕生。徐々にフレームアウトしていく島にやるせなさを感じた。

170分という尺の中で、無秩序さがとにかく際立つ。しかもこれ、5時間を超えるDVDも存在するのだそうで。まさにマニアックな世界、アンダーグラウンド。
Shelby

Shelby