たか

俺は、君のためにこそ死ににいくのたかのレビュー・感想・評価

5.0
 一番記憶に残った言葉、それは「生き残された理由」である。これは映画の中で、特攻隊でありながら生き延びている人に対する言葉である。ただ、特攻や戦争で死ななかったと言う事ならば、時代は違えども、我々も「生き残された者達」である。こうやって生きているには、理由がある。それを我々は忘れているんではないだろうか。この事は、何かの本を読む度に感じるのだが、なかなか思い続ける事ができずにいる。
 そして、彼らの気持ちを理解しようとした。感情移入しようとした。特攻隊に半強制的に志願を迫られた時、そして、明朝5時、特攻に出発する!と伝えられた時、彼らはどんな精神状態だったのだろうか。イメージを働かせ、その気持ちに近づこうと試みたが、なかなか近づける境地ではなかった。
 ただ不謹慎だが、彼らが、その時代が、少し羨ましく感じてしまった。生きている実感と言うか、生死が日常生活にあって、その分、命の尊さを感じつつ生きていた時代なのではないだろうか。同じ特攻部隊のただならぬ仲間意識、感情が高ぶる機会に恵まれた時代、何か清々しささえ感じてしまった。
 これは確かに正直な感想であるが、どんな理由があろうと、戦争は起こしてはならない。この想いだけは変わらず自分の中にある。もしかして「生き残された理由」「命の尊さ」を忘れた時、戒めとして戦争が起こるのだろうか。
 この作品は、映画の良し悪しを考えて見るのではなく、余計な気持ちをすて、できる限り感情移入を試みながら見て欲しい。
たか

たか